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曾根崎心中

曾根崎心中@国立劇場を見てきました。
楽しかった!
ちょっと字幕が見にくい席に当たってしまったんですけど、太夫の近くでそれはそれで迫力があったんでよしとします。
まあ曾根崎心中なら字幕見てなくても大体わかるし。
以下、特に知識もない素人の感想です。


生玉社前の段
格子の中に見え隠れするお初。出てきたらやはりおお、となる。ヒロイン、かわいいんですよ。
徳兵衛と九平次の喧嘩シーンが楽しい。
九平次の人形の悪そうな顔ったらない。
証文をばしんと叩きつけられてつかみ合いが始まって、お初がちゃんとオロオロしてる。かわいい。

天満屋の段
ここがメインで見に来たと言っても過言ではない。
お初の着物の裾に隠れる徳兵衛、屈指の名場面。
まず編笠を深く被って顔隠して徳兵衛が来るんだけど、お初が編笠の中を覗き込んで話すのがいい。そういうディテールがすごくいい。
そこから打ち掛けの裾に徳兵衛を隠して縁側に座るお初。
独り言のふりして「死ぬ覚悟はあるか」と問うたら徳兵衛がお初の足をつかんで足先で首を切る仕草して覚悟を伝えるんですよ。
最高じゃないですか?
独り言のふりして徳兵衛に愛を伝えて徳兵衛はお初の裾の中で足首をかき抱いて泣く。
こんな色っぽい場面ないですよ。
もちろん全部人形でやるんだよ。素晴らしい。

がんばって店を抜け出すところも楽しくて。
釣り行灯を消そうと奮闘して落ちたり。
そしたら置いてある行灯まで消えちゃって真っ暗闇の中うろうろしたり。
戸の音がうるさいから火打石の音に合わせて少しずつ開けてなんとか抜け出したり。
そういう細かい動作を小道具色々使いつつ太夫と三味線が掛け合いつつやるわけだ。
とても楽しい。
やっと抜け出せて抱き合う二人。


天神森の段
いよいよ心中道行。
稀代の名文、
この世の名残、世も名残、死にに行く身をたとふればあだしが原の道の霜。一足づつに消えてゆく、夢の夢こそ哀れなれ。
を聞いて感慨深い気持ち。
抱き合う二人、腕絡み合っててラブラブでいいんですよ。
お初がかわいくて、徳兵衛も切れないんですけど、ちゃんと震えたりためらったりしてるの、人形が。
そこで帯で二人の体を結んで、ついにお初を殺して徳兵衛も死ぬ。
そこの人形の動き、躊躇って、覚悟を決めて手にかけて、自分の首切って、よろよろ抱き合って、ついに息絶える。
全部ちゃんとわかる。
お初の「覚悟の顔の美しさ」。
で念仏が聞こえてきて、
「長き夢路を曽根崎の森の雫と散りにけり」
で終わり。


やっぱりたのしいな。文楽好きだな。
と思って帰ってきてるんだけど、果たしていつまでこの文化守られるだろうか。
たのしいけど、一般受けしないんだろうな、っていうのもわかる。
字幕もあるしわかりやすいんだけどね。
歌舞伎と比べると全然だよね。
なんとか生き残ってほしい。



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