8/28 日記 「自意識」

時期としては流行病の影響が出始めた頃だろうか。鏡を見る時間が長くなった。元は数秒、ひどい時は数瞬目に入れれば十分な美意識で生きていた。初めはただあらゆる時間に余白が生まれただけだったが、よく見ると気になることがあった。

クマがひどい。メガネで目元を囲まれていたせいか目立ってはいなかったが、いつからあるのか不健康そうな黒ずみが現れていた。こんな風体のやつがしょぼくれた顔でコーヒーを買っていく姿はもうジャンキーのそれに近いなと思い、どうにかして消そうとなるべく睡眠時間を増やし鏡と睨めっこを続けている。

するとある日別の問題に気づく。こんなに肌汚かったか?思春期真っ只中かと疑うほどにだ。いや元々気にしてなかったのでこうだったのかもだが、もはや青春の証などと言ってられる年齢ではない。数年前パーカーなんぞを着た自分を「中学生みたい…」と悲しくなりほとんどの服を捨てたことが思い出された。
そういえば母(別居中)は美容関係の仕事をしていた。こんな時に頼らないでどうするのかと連絡をとると、マスクのせいでは?とのこと。常に肌に当たり尚且つきったね〜呼気が篭るのだから当然だと。元々じゃなくてよかった〜〜〜〜
そんなわけで洗顔をド真面目にやっている。ある程度は回復したが、鏡との闘争はもうしばらく続きそうだ。

そうやって鏡を見ていると流石に自意識も目覚めてくる。多少マシになろうとメガネを変えた。店内でキングクリムゾンの「21世紀のスキッツォイド・マン」が流れていてどういう顔で選べばいいのかわからず、まぁそれはそれとしてサングラスにもなるメガネにしてみた。人生の半分はもうメガネと共にいるので多少の変化を求めてのことだった。
帰ってから気づいたことだが、マスクを着けていないと冷たい目で見られるこのご時世とは言えそこにサングラスを重ね掛けは普通に不審者のそれではないか?顔面の全てが隠れている。街に繰り出せばまあ見ないこともないが、少なくとも居住地のスラム街でやれば警戒され先制攻撃を食らってしまう。出かけないのもあって結局あまり着けられていない。

隠れていれば気にならないものでもなく、それもそのはず隠せば隠すほど他の問題が山積みになる。
自意識、美意識とは……難しいものですね。(達観エンド)

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