雪の瀬

姉が身請されてからもう五年が経とうとしている。商家の年末は忙しい。その間、旦那さんは暫く姉のいる別宅には足を伸ばせないので、僕は茶屋に暇をもらって姉さんに会いにいくというのが常だった。

旦那さんが用意した別宅は表通りからちょっと静かなところにあった。小さな庭と柿の枝。茶屋のおかみさんから姉によろしくと餞別をもらったので、久寿もちと羊羹を買っていく。

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899字
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アバラ通信

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