築古投資物件と火災保険契約について@弁護士

昨今、サラリーマン投資家が、副業として不動産投資を行うケースがある。

勤めている企業が今後存続するか不透明である時代において、給与以外の収入源を確保したいということだろう。しかし、かぼちゃの馬車問題に起因し、年収1000万円に満たない人が、銀行から融資を引っ張り、フルローンで投資物件を買うことが困難になりつつある。その場合には、一部頭金を出し、さらに、購入する投資物件の価格を下げざるを得ない。

そうすると、地方の築古物件が対象となるだろうが、例えば、20年以上経過した築古物件でやはり気になるのが修繕のことである。

当然、築古であればあるほど、修繕のリスクがついて回り、仮に、安く購入できた物件が、購入後に修繕で数百万かかってしまえば、入ってくるはずのキャッシュが減り、投資計画が狂うのは必然といえる。

そこで大家としては、風災や雪災で発生した、例えばフェンスの損壊、水漏れなどについて、火災保険契約で填補してもらうことを目論むであろう。

現に、保険契約期間前から発生していた損害・水漏れ等について、事故発生後に火災保険契約に加入し、あたかも、保険契約期間内に発生した事故として請求し(アフロスという。)、本来発生するはずだった修繕費を火災保険で填補するといった悪徳大家もいる。むしろこれを指南する、投資物件を手掛ける不動産業者もいるであろう。

しかし、当然ながら、保険契約期間前から発生した事故と知りながら、保険契約期間内に発生した事故と虚偽申告し、保険金を詐取した場合、詐欺罪に該当することは明らかであるし、受領した保険金について、後に、保険会社に対し、損害賠償義務または不当利得返還義務を負うことになる。

保険会社も馬鹿ではないので、保険の対象物件の築年数をチェックしており、古い物件での保険金請求があった場合には、鑑定会社を派遣するなどし、真実、事故発生日がいつかを調査している。

このような請求を行った場合、請求者は、後ほど、保険会社が訴訟提起されることもあるため、誠に慎んだ方がいいだろう。

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