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マヤノトップガンに会いに行った話

私は気持ちが落ち込むとよく、競争馬のレース動画を見る。

彼らの走っている姿を見ていると、自然と元気が湧いてくるからだ。

中でも一番のお気に入りはマヤノトップガン。

G1を4つも勝った、栗毛の美しい馬である。

菊花賞、有馬記念、宝塚記念、天皇賞(春)。

勝ったレースの全てが違う脚質だった。

逃げて差して追い込んで。

今日はどんなレースをするのか分からない。

そんな変幻自在な所が、私は大好きだった。

マヤノトップガンに会いに行ったことがある。

2019年10月28日。

北海道の優駿スタリオンステーションに彼はいた。

私が近づくと馬房からスッと顔を出し、写真撮影に応じてくれた。

現役を退き、種牡馬の務めも終えた彼の表情は、とても穏やかで、けれど、心なしか元気がないようにも見えた。

牧場見学の許された30分の間、私は他馬の見学もそこそこに殆どの時間をマヤノトップガンの馬房の前で過ごした。

ずっと会いたかったこの馬の側に少しでも長くいたかった。

トップガンは見学時間中、顔を出していてくれた。

それどころか、落ち着いた様子で現役時代から変わらぬクリクリとした目をこちらに向けてさえくれた。

幸福な時間はあっという間に過ぎていった。

時間が来て、馬房を離れる際、「また来るね。」と声をかけた。

その6日後。

2019年11月3日、マヤノトップガンは老衰でこの世を去った。

27歳。

サラブレッドとしては大往生だろう。 

訃報を知った時、驚きはしたものの「よく頑張ったね。」と言う気持ちの方が大きかった。

今春、優駿メモリアルパークに彼のお墓が建てられたと知った。

再会は叶わなかったけれど、いつかお墓参りに行きたい。

何度も私の心を前向きにしてくれた、感謝を伝えに。


※以下は、マヤノトップガンに会った際、撮影した動画です。私の声が入ったため、無音でお送りします。

























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