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【東京六大学野球】2022プロ志望届提出選手紹介【ドラフト】

 こんにちは、宜野座パーラーです。しばらく書くのをサボっていましたが、10月20日のNPBドラフト会議に向けて久しぶりの記事です。

 ここでは、東京六大学野球連盟所属でプロ志望届を提出した選手の紹介をします。昨年は東京六大学からプロ志望届を提出したのは16選手でしたが、今年は24選手と大幅に増えました。昨年は4本の記事に分けましたが、今年は1本で書いているので大容量です(何本かに分けた方が読みやすいなどのコメントがあればぜひ…!)。

プロ志望届提出選手(東京六大学)


はじめに(読み飛ばしても問題ないです)

 本編に入る前に文中のデータや動画についての注意です。

データ

 データは東京六大学野球連盟HPから引用しています。また、以下の各指標は元データの都合上、一般的に用いられる式とは若干異なります(四死球及び犠打飛の内訳が不明のため)。

【投手】
 BB%=与四死球÷打者数
 K/BB=奪三振数÷与四死球
【野手】
 出塁率=(安打数+四死球数)÷(打数+四死球数)
 (※)OPS(=出塁率+長打率)算出時に使用

 なお、4年秋及び通算のデータについては第5週終了(10月10日)時点のものとなります。そして、本文中でリーグ平均として言及している値は2022年春季リーグ戦の平均値で、それぞれ以下の通りです。

リーグ平均(2022春)

動画

 各選手のプレー動画はBIG6.TVから拝借しています。


明治大

蓑尾 海斗(捕手・日南学園)

通算成績(M蓑尾)

 3年秋から正捕手として出場を続ける副将。3年秋、4年春と2季連続ベストナインを受賞し、攻守にチームを引っ張る存在です。また、今年の夏には大学日本代表選考合宿に参加し、最終的には代表漏れも貴重な経験をしました。
 安定した守備力とスローイングで確実に守れる捕手といったイメージです。また、3年秋はリーグ3位の打率.400、4年春も打率.241ながら8打点を記録した勝負強い打撃も魅力でしょう。4年春の優勝を決めたサヨナラ犠飛が印象的で、攻守に「勝利を引き寄せる」ことができる選手です。


岡本 伊織(一塁手・創志学園)

通算成績(M岡本伊)

 左の大砲候補として1年から代打を中心に出場機会を得ながらも、ここまでリーグ戦通算3安打にとどまり、気がつけばもうラストシーズン。やはり持ち味は長打力です。4年春の東大2回戦、代打から途中出場すると念願のリーグ戦初本塁打が飛び出しました。


村松 開人(遊撃手・静岡)

通算成績(M村松)

 一発こそ少ないですが走攻守3拍子揃っており、主将としてもチームを引っ張る内野手です。登録は遊撃手ながら、チーム事情でセカンドを守っています。しかし、プロでは内野のどのポジションでも対応できる守備力を十分に有している選手だと思います。
 3年春にレギュラーとして定着すると、リーグ3位の打率.366で二塁手のベストナインを獲得しました。続く3年秋も打率.361を残し、リーグ戦初アーチを放ちました。2季連続のベストナインこそ逃しましたが、リーグトップの2三塁打を放つなどOPS1.116で、俊足巧打タイプとしては非常に高い数字を残しました。また、三振が極端に少なく、通算のK%は4.8%とリーグ平均を大きく下回っているのも特徴です。
 故障の影響で4年春は代打出場の3試合のみに終わりましたが、今季はスタメンに復帰し、最後の猛アピールと言わんばかりの活躍を見せています。ここまで全試合で安打を放ち、打率.464は現時点で首位打者です。


明新 大地(外野手・明大中野)

通算成績(M明新)

 付属校出身ながらチャンスをつかみ、特に4年春はラッキーボーイ的な活躍を見せて優勝に貢献しました。堅い守備と「何かを起こす」と思わせる打席での雰囲気は、野球エリートばかりの明大においても引けを取らない存在といえるでしょう。
 やはり印象に残っているのは4年春後半の大躍進です。慶大1回戦で途中出場すると、リーグ戦初本塁打を含む2安打。この本塁打で勢いに乗ると、翌日の慶大2回戦からはリーグ戦終了まで5試合連続で「1番センター」として出場を続け、規定打席未満ながら打率.324を残しました。
 数字だけを見れば、彼より優れた選手は多いのが事実でしょう。しかし、どこか応援し続けたいと思わせてくれるような選手です。


慶應義塾大

橋本 達弥(投手・長田)

通算成績(K橋本達)

 150キロ前後の直球と鋭い変化球を武器にするリリーフタイプの右腕。4年春やオープン戦では先発の経験もありますが、ピンチの場面から登板して見事に火消しする姿が印象的な投手です。
 3年春は8登板で防御率0.69、3年秋は6登板で防御率0.90と守護神として見事な成績を残しました。4年春こそK/BBが1を下回り、制球に苦しむ場面も見られましたが、今季は見事に復調しました。ここまで5登板はすべて完了を記録(=リリーフ登板し試合終了まで投げた)し、防御率は0.00、WHIPも0.58と、かつての姿が戻ってきました。
 今年の夏は大学日本代表としてハーレムベースボールウィークに参加し、2試合でリリーフ登板しました。出番はやや少なかったですが、1回2/3を3奪三振無失点と結果を残しました。


増居 翔太(投手・彦根東)

通算成績(K増居)

 堂々現役トップの通算15勝を記録しているエース左腕。今季は調子を取り戻し、ここまでリーグトップの4勝。1年春からリリーフで6登板するなど、慶大投手陣を4年間支えました。
 3年春は5試合で先発し4勝1敗、WHIP1.03にK%は25.0%。3年秋も5試合先発で1勝止まりも、WHIP1.04、K%23.7%と抜群のゲームメイク能力を発揮しました。しかし4年春は調子が奮わず、4勝を挙げるも防御率は4.54とパッとしませんでした。
 今季は持ち前の制球力を取り戻し、WHIPは0.80、BB%も5.5%と安定感のある成績を残しています。ストレートの最速を147キロに更新するなど、力強さも増した印象です。今年のドラフト市場は左腕が不足気味のため、上位での指名も期待されます。


下山 悠介(三塁手・慶應義塾)

通算成績(K下山)

 1年春から出場を続け、1年秋に早くも主力に定着しました。今年は主将としてもチームを引っ張る、左打ちの中距離タイプ。守備位置は主にセカンド、サードですが、ショートとしても出場もあります。
 外野の間を抜くライナー性の打撃が印象的で、ここまで通算75安打は立大・山田に次ぐ現役2位。1年秋にはリーグ3位の打率.349を記録し、三塁手として初のベストナインに輝くと、3年春にも打率.350を記録しました。
 ラストシーズンの今季はここまで打率.182と、少し苦しんでいます。全体的な数字で見ても特徴があまりない部分は気になりますが、4年間主力として出場を続けたその実績自体が評価されるべき選手でしょう。


朝日 晴人(遊撃手・彦根東)

通算成績(K朝日)

 堅い守備が売りの内野手で、主にセカンド、ショートを守ります。3年春にはその守備力を買われ、捕手として登録されていました(捕手としての出場はなし)。
 1番や2番、あるいは下位打線での起用が多いですが、しぶとい打撃も魅力で、4年春はリーグ2位の打率.391を記録し、OPSも1を超えました。今年のドラフト候補には二遊間タイプの選手が多いですが、ショートの守備力という視点では他の候補に引けを取らないものがある選手です。


萩尾 匡也(外野手・文徳)

通算成績(K萩尾)

 右のスラッガータイプで、逆方向にも強い打球を飛ばす外野手です。バスターでホームランを放ってしまうような、数字では表しきれないスケールの大きさを感じさせる点も魅力です。
 レギュラーに定着したのは4年春ですが、そのシーズンは5本塁打、17打点で二冠王に輝き、勢いそのままに大学日本代表にも選ばれました。「超積極打法」で、三振が多く四球は少ない印象でしたが、今季は一転、リーグ平均にまで改善しました。特にここまで打率.447はリーグ3位で、力強い打撃に巧さが加わった印象です。
 近年のトレンドを見ても、右のスラッガータイプは貴重な存在でしょう。打撃に注目されがちですが、走力、守備力も十分に備えており、上のステージでも活躍が期待されます。


山本 晃大(外野手・浦和学院)

通算成績(K山本)

 一浪の末、慶大に入学した苦労人。打線では萩尾や3年生の廣瀬の陰に隠れている印象こそありますが、この選手も彼らに引けを取らない強打者です。
 4年春にライトのポジションを勝ち取ると、打率.340、2本塁打、13打点でベストナインに輝きます。今季もここまで2本塁打、9打点を記録するなど、好調な強力打線を牽引しています。また、K%の4.5%は主力クラスでは明大・村松に匹敵する数字です。さらに今季14四死球はダントツのトップで選球眼も魅力でしょう。


立教大

荘司 康誠(投手・新潟明訓)

通算成績(R荘司)

 言わずと知れた今年のドラフト1位指名候補。大学生ながら、まだまだ伸びしろ十分の大型右腕です。特に4年春に注目されると、最速150キロ超の直球と高い奪三振能力を売りに、リーグ戦では2勝にとどまりましたが、大学日本代表にも選出されました。
 今年ここまでフル稼働の疲れもあるのか、今季はここまで0勝2敗、防御率3.52と、本調子とはいえないシーズンを送っています。とはいえ、ここに来て評価が揺らぐような選手ではないでしょう。
 制球がややアバウトなところや、ここまでリーグ戦での完投経験がないことなど気になる点はありますが、それを差し引いても十分に「能力の高い素材型」として最高評価できる選手でしょう。


宮 海土(投手・國學院栃木)

通算成績(R宮)

 下級生からブルペンを支え続けた力投派左腕。ここまで通算42登板は現役トップで、そのすべてがリリーフ登板です。140キロ台中盤の力強い直球と投げっぷりが売りで、高い奪三振能力を有しています。
 K/BBは1.74ながら、BB%は1.49%とやや高いのは気になるところです。特に今年は安定感に欠く場面が多いのが残念ですが、タフなリリーフ左腕としての実績は十分です。


山田 健太(二塁手・大阪桐蔭)

通算成績(R山田)

 こちらも言わずもがなのドラフト1位候補です。1年春からレギュラーとして、今年は主将としてもチームを牽引する選手で、そのスター性にも注目が集まります。リーグ戦ではセカンドを守りますが、大学日本代表ではファーストを守るなど、プロではファーストやサードがメインでしょう。
 1年春に打率.375、2本塁打を記録するなど華々しくデビューしますが、その後はやや苦戦しました。長打を狙うあまり三振が増えたり、その逆に安打は出るものの打撃がコンパクトになりすぎたり、いまひとつ殻を破り切れずに苦しんでいた印象です。
 しかし、今季は良い意味で吹っ切れたのか、ここまで打率.300、2本塁打、OPSは1年春以来の1超えと、本調子に近い打撃ができているのではないでしょうか。特に凡打の内容がこれまでと見違えるほどに良くなったと感じます。


道原 慧(外野手・駒大苫小牧)

通算成績(R道原)

 走力を活かした守備走塁と積極打法が魅力の左打ちの外野手。3年春にリードオフマンとしてレギュラーに定着すると、そのシーズンは打率.316、5盗塁と活躍しました。
 もともと守備走塁技術はリーグトップクラスでしたが、今季は打撃に力強さが増したように感じます。ここまで本塁打こそありませんが、外野の間を抜くライナー性の打球と俊足を武器に3二塁打、2三塁打を記録しています。


法政大

是澤 涼輔(捕手・健大高崎)

通算成績(H是澤)

 同級生に村上、大柿がいる厳しい競争環境の中で、これまでリーグ戦の出場は3試合、スタメン出場は今季の早大2回戦のみにとどまっています。特に大柿とは健大高崎時代からのライバル関係が7年間続きました。


村上 喬一朗(捕手・東福岡)

通算成績(H村上)

 今季は大柿と併用されていますが、3年秋、4年春は正捕手として出場しました。リーグ随一の強肩が売りで、投手を盛り立てるムードの良さがあります。通算打率.313としぶとさを備えつつ、ツボにはまるとスタンドまで飛ばすパンチ力もあります。
 捕手のドラフト候補が意外と少ない今年は、下位や育成を含め、指名の可能性があるかもしれないです。


齊藤 大輝(二塁手・横浜)

通算成績(H齊藤大)

 勝負強さを武器に、主将としてもチームを牽引する右の強打者。3年春に打率.342、リーグ3位の10打点で初のベストナインに輝くと、続く3年秋もリーグ2位の打率.438で2季連続のベストナインを獲得しました。
 今年に入って2季連続で打率2割台と苦戦していますが、大学日本代表に選出されるなど、その実力は十分に評価されています。リーグ戦ではセカンドでの出場がメインですが、サードやファーストなど打力を活かすポジションへのコンバートの可能性もありそうです。強打ばかり注目されがちですが、現役トップタイの通算15盗塁を誇る走力も売りです。


木下 将吾(外野手・静岡)

通算成績(H木下)

 もともと捕手として入部しましたが、走力や守備力を活かすために外野手に専念しました。これまでリーグ戦出場の大半が代走や守備固めですが、通算4盗塁とスペシャリストとして自身の長所を磨きぬいた選手です。


野尻 幸輝(外野手・木更津総合)

通算成績(H野尻・投手)
通算成績(H野尻・打撃)

 リーグ随一の身体能力を誇り、今季はレギュラーではないながらも、二刀流としてリリーフで1試合、代打で2試合出場しています。木更津総合時代は投打に活躍し、法大入学後の起用法にも注目が集まりました。
 この4年間、基本的には野手としてプレーし、4年春にはライトのレギュラーの座につきました。しかし、12試合出場も打率.205と、悔しいシーズンに終わりました。
 そして、ラストシーズンの今季は二刀流としてベンチに控えています。立大3回戦で6人目として2年春以来のマウンドに上がると、山田に一発こそ打たれましたが、140キロ台中盤の力強い直球を武器に、2回4奪三振とインパクトを残しました。「未完の大器」のまま大学野球を終えようとしていますが、覚醒する可能性に賭けてみたいと感じさせる選手です。


早稲田大

菅原 宗一郎(投手・鶴岡南)

通算成績(W菅原)

 鶴岡南から1浪を経て入学した右腕。鶴岡南では1年から公式戦のマウンドに上がり、3回戦で敗退した3年夏では3試合全てを1人で投げ抜きました。早大入学後の情報も少ないですが、4年春のオープン戦(2022年3月23日、筑波大戦)では無失点に抑えたようです。


中川 卓也(三塁手・大阪桐蔭)

通算成績(W中川卓)

 1年春からレギュラーとして出場し、今年は主将としてチームをまとめます。攻守に器用さが目立ち、内野のどこでも守れる選手です。打率3割達成は3年秋の1度のみと、数字自体は正直物足りないと言わざるを得ないですが、大阪桐蔭と早大で主将を務めた人柄や統率力は魅力です。


蛭間 拓哉(外野手・浦和学院)

通算成績(W蛭間)

 立大の荘司や山田とともに、ドラフトの目玉選手の1人です。10月11日に西武が1位入札を公言しており、ドラフト当日で何球団の競合になるかは見ものです。
 走攻守いずれも高いレベルにありますが、1番の強みは打力、特に勝負強さでしょう。リーグ戦通算12本塁打は慶大・廣瀬と並んでトップタイです。
 印象的な活躍は2年秋の早慶戦でしょう。慶大と最後まで優勝争いを繰り広げる中、1回戦で勝ち越しの一発を放つと、続く2回戦には優勝を決める逆転2ランを放ちました。いずれも打った瞬間にそれと分かる見事な一発でした。


東京大

井澤 駿介(投手・札幌南)

通算成績(T井澤)

 2年春から先発陣を支え、通算38試合、現役トップの170回1/3を投げる「偉人」。どうしても不利な展開での投球が多くなるなかでも、黙々と腕を振り続けることができた心身のタフネスさは評価に値するでしょう。
 140キロ超の直球と変化球のコンビネーションでかわす投球が持ち味で、ここまでリーグ戦通算2勝を記録。特に今季の慶大1回戦では、6回2失点の好投で念願の先発勝利を果たしました。
 立ち上がりの制球力は課題ですが、3年秋以降、序盤さえ乗り切れば安定的にゲームメイクできるようになった点は成長ポイントです。


阿久津 怜生(外野手・宇都宮)

通算成績(T阿久津)

 高校野球の経験はありますが、大学では当初アメフト部に入部し、2年夏に野球部に転部した異色の経歴。それでも3年春から主力に定着したあたりは流石の運動能力です。
 1番の強みは現役3位の通算14盗塁を誇る脚力。走力を活かした攻撃を繰り広げる東大の野球ともうまくハマりました。一方、当初の課題は打撃で、失礼ながら、内野安打やポテンヒットくらいしか期待できない状況でした。それでも、シーズンを重ねるたびに力強さが増しており、4年春に初本塁打を記録すると、今季も既に2本塁打を放っています。高いレベルの野球に慣れたのもあるでしょうが、強い打球を放つためにフォームを修正するなど、正しい方向に努力ができる点も強みでしょう。


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