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【東京六大学野球】2023プロ志望届提出選手紹介【ドラフト】

 こんにちは、宜野座パーラーです。10月26日のNPBドラフト会議に向けて、今年も東京六大学連盟所属でプロ志望届を提出した全選手の紹介をします。

 今年は早い段階から着手し、随時更新で書き進めてみました。これで最終版となります。

0.更新履歴

・9月8日:慶大・廣瀬、早大・熊田、立大・池田を追加。成績は2023春終了時点。
・9月20日:明大・石原、蒔田、村田、上田希、法大・尾﨑、早大・加藤を追加。成績を2週目終了時点に更新。
・10月4日:立大・三沢を追加。成績を4週目終了時点に更新。
・10月20日:プロ志望届提出選手確定。早大・東海林を追加。成績は第6週終了時点で確定。

1.はじめに

 本編に入る前に、本文中のデータについての注意です。

 元データは東京六大学野球連盟HPから引用しています。また、一部の指標は元データの都合上、一般的に用いられる算出式と若干異なります(四死球及び犠打飛の内訳が不明なため)。通算の成績は秋季リーグ戦第6週終了時点のものになります。

 本文中でリーグ平均としている数値は2023年春季リーグ戦のもので、それぞれ以下の通りです。

リーグ平均(投手・2023春)
リーグ平均(野手・2023春)

2.プロ志望届提出選手一覧

 今年のプロ志望届提出選手は以下の通りです。今年は11名の提出に留まり、また東大の選手の提出はありませんでした。2021年16名、2022年24名と増加傾向が続いていましたが、今年は一転大幅減少となりました。

プロ志望届提出選手一覧(最終版)

3.明治大

3-1.石原 勇輝(投手・広陵)

通算成績(M石原)

 ここにきてチームメイトの村田、蒔田と並んで注目度上昇中の左腕。リーグ戦では主にリリーフとして、4年春までで22登板の実績があります。筆者が見た限りだと5月14日の対早大2回戦で149キロを記録し、その力強い直球を武器に、特に短いイニングを任せたときの爆発力が魅力です。

 3年秋以降に頭角を現すと、そのシーズンは8試合で救援登板し、失点を許したのはわずか1試合のみ。12投球回で16奪三振、3与四死球と安定感のある投球を見せました。4年春は調子の上がらない蒔田に代わって2回戦の先発に抜擢されるなど、活躍の幅を広げました。

 今季は4カードで1先発、3救援での登板。基本的にはブルペン待機の起用ですが、先発で試合を作る投球を見せると、救援でも10月16日の対慶大3回戦で4回7奪三振1失点の好投など、安定的に活躍しています。指標で見れば、4年春までのK/9は8.37ともう一歩物足りなさも感じられましたが、今季のリリーフ登板時には7回で10奪三振と高い奪三振能力を示しました。左のリリーフを求める球団には需要アリでしょう。

3-2.蒔田 稔(投手・九州学院)

通算成績(M蒔田)

 大学代表にも選抜された右腕。チームメイトの村田と並んで、先発の柱として4年春終了時点で通算8勝はリーグ2位です。とはいえ、思うように成績が伴わず、3年秋以降はかなり苦しんでいるというのが正直なところでしょう。

 筆者が今年見た試合では、10月1日の対立大2回戦で最速146キロを記録。140キロ台中盤の直球と球速差のある変化球のコンビネーションが売りで、ゲームメイクする能力が高いのは間違いないでしょう。ただ、150キロ台の直球を連発してもおかしくないと感じるその体躯を見ると、まだ殻を破れていない印象もぬぐえません。

 今季は4カードで3先発、1救援の登板。2勝を挙げ、通算勝利数を10に伸ばしました。丁寧な投球を心がけるあまりに球数が多くなるような場面もありましたが、任された場所でベストな結果を残すんだという強い気持ちが見られた4登板だったと感じました。ここまでの成績はさておき、どの場面でもマウンドに上がる(上がりたがる)その気概はプロ向きの性格かと思われます。

3-3.村田 賢一(投手・春日部共栄)

通算成績(M村田)

 リーグ戦4連覇を狙うチームを支えるエース右腕。球速のインフレ化が進む近年の野球界において、投球の正確さ、丁寧さで勝負ができる完成度の高さを有しています。とはいえ、4月8日の対東大1回戦では147キロを記録し、「その気になればスピードも出せる」ということをアピールしました。

 最大の持ち味は制球力の良さで、4年春終了時点のBB/9は1.61と、リーグ平均の半分ほどの四死球しか与えていません。また、WHIPも同時点で0.82と、1イニングに1人未満の走者しかを許していない計算になります。加えて、ここまで2度のマダックス(100球未満での完封)を達成しており、とにかく崩れない投手と言えるでしょう。

 今季は3年春以来の黒星に、ここまでの防御率は5.04と、かなり苦しい投球が続いています。各指標が大幅に悪化したとまでは言えませんが、要所で粘り切ることができない場面が目立ちました。チームも4連覇が崖っぷちの状況ですが、最終カードの対法大1回戦で起死回生の投球ができるかに期待です。

3-4.上田 希由翔(三塁手・愛産大三河)

通算成績(M上田希)

 1年秋からレギュラーに定着すると、チームの主軸として4年春終了時点で現役トップの通算62打点を記録します。去年、今年と2年連続で大学日本代表に選出されるなど、この世代の中心選手として活躍を続けます。スピードや器用さも兼ね備えており、リーグ戦ではショート以外の内野を守りましたが、日本代表では外野守備も無難にこなしました。

 強打者というよりは中距離の好打者タイプで、4年春終了時点で打点のみならず、82安打、19二塁打、4三塁打はいずれも現役トップです。同時点でのRC27は8.71と、個人的にプロ入りの目安としている6を大きく超えており、総合力の高さはリーグ随一です。

 今季は中盤まで7試合で9打点を稼ぐなど好調を維持しましたが、大一番となった直近の対慶大戦では3試合で無安打に終わり、打率を.294に落としました。最終カードで現時点で歴代7位タイの通算71打点をどこまで伸ばせるかにも注目です。

4.法政大

4-1.尾﨑 完太(投手・滋賀学園)

通算成績(H尾﨑)

 快速球を武器に三振の山を築く左腕エース。筆者が見た試合では4月8日の対慶大1回戦などで150キロを記録し、4年春終了時点で通算131奪三振は現役トップ、K/9も9.59と高い奪三振能力を有しています。4年春は防御率1.28で4勝を上げるなど、結果を残しました。

 課題は与四死球の多さでしょう。4年春終了時点でBB/9は5.56と、四死球から試合を崩す場面も見られました。速球派の左腕は多少の制球難は気にしないという考え方もありますが、2010年以降にプロ入りした左腕では宮台康平(東大→日本ハムほか)の5.70を除けば、どんなに悪くとも4台前半のBB/9にとどまっており、この点は評価が分かれるかもしれません。

 今季は、コンディション不良から開幕カードはブルペン待機でスタートするなど、決して万全とはいえないシーズンでした。2カード目以降は先発に復帰も、与四死球数が奪三振数を上回るなど苦しい登板が続いています。とはいえ、4年春をはじめベストの状態を評価しての指名も大いにありうると思われます。

5.慶應義塾大

5-1.廣瀬 隆太(二塁手・慶應義塾)

通算成績(K廣瀬)

 9月1日、いの一番でプロ志望届を提出した右打ちの大砲。4年春終了時点で通算18本塁打は現役トップ、歴代でも7位タイに位置します。HR%もリーグ平均の3倍以上の5.4%と、打球を飛ばす力はリーグでも随一です。守備ではセカンドをメインに、ファースト、サードを守りますが、プロではファースト、サードが基本線になるでしょう。

 1年秋から主力として出場を続け、名実ともにドラフト上位候補といえる選手ですが、4年春は苦戦しました。本塁打こそ5本と自己最多を更新しましたが、打率.192、6打点と走者を還す打撃はほとんどできませんでした。とはいえ、4年春にこれだけ苦しんでも、通算のRC27は7.19と過去のプロ入りした選手と比較しても十分の数値です。

 今季は昨季よりはマシも、完全復活とまではいえない状態でしょうか。守備位置もシーズン途中から一塁に回るなど、コンディション面でも不安が見受けられます。通算本塁打数も19本から足踏みが続き、歴代1位の23本はかなり難しい状況ですが、今季の成績がドラフトに影響するような位置づけの選手ではないでしょう。

6.早稲田大

6-1.熊田 任洋(遊撃手・東邦)

通算成績(W熊田)

 1年春からショートのスタメンに抜擢され、ほぼフルイニングでの出場を続けています。3年春までは攻守に苦しみましたが、セカンドにコンバートされた3年秋には打率.342、3本塁打と大きく飛躍しました。4年春終了時点でK%が9.5%と、リーグ平均より三振がかなり少ないことが特徴です。

 4年春に再度ショートに挑戦し、打率.341、リーグトップの13打点を記録できたことは大きなアピールになったでしょう。さらに、リーグ戦の好調そのままに、今夏の大学日本代表にも選出されました。結果的には5試合で無安打に終わりましたが、無難にセカンド守備もこなすことができると示したと思います。

 4年春終了時点でRC27は4.68と、二遊間を守る選手としては及第点といえますし、特に今季を含めた直近3季で成績をしっかり残している点は大いに評価できます。東京六大学で出場し続けたタフさと、攻守での安定感がどのように評価されるか期待されます。

6-2.加藤 孝太郎(投手・下妻一)

通算成績(W加藤)

 タイプとしては明大・村田と同様、スピードではなくコントロールで勝負する右腕です。4年春終了時点で通算7勝5敗と、チーム状況もあり勝ち星には恵まれていませんが、試合を崩すような投球をしたのは数度のみで、ゲームメイク能力はリーグ随一です。また、フィールディング技術もピカイチで、個人的にはリーグで一番だと感じています。

 4年春終了時点でWHIPは1.08と丁寧な投球が持ち味です。一方で、投球タイプ的にも奪三振は少なめで、同時点でK/9は5.74とリーグ平均も下回っています。また同時点でHR/9が0.65と、過去のプロ入りした投手と比べても高めなのは気になるところです。

 今季は対東大1回戦で10奪三振完封勝利。東大相手といえども、10奪三振は大いに評価できると思われます。プロの目線で見たときに力強さがどのように評価されるかは気になりますが、明大・村田と同様、抜群の安定感と完成度の高さは大きな強みでしょう。

6-3.東海林 碧波(投手・早稲田実)

通算成績(W東海林)

7.立教大

7-1.池田 陽佑(投手・智辯和歌山)

通算成績(R池田)

 4年春終了時点で39登板、投球回165回2/3はいずれも現役トップの右腕エース。3年春こそ故障の影響で2登板にとどまりましたが、2年春以降はほぼフル回転で右腕を振り続けています。特に2年春は先発投手不足のチーム事情もあり、全10試合で9登板(うち8先発)とタフさを発揮しました。

 FIPは4年春終了時点で3.03と、過去にプロ入りした投手と比べても十分に評価できる水準にあります。まとまりの良さ、走者を背負っても粘れる点は強みですが、K/9が同時点で5.16というのは少し物足りなさがありましたが、今季はやや改善が見られています。

 筆者が見た限りですが、5月20日の対立大1回戦で最速150キロを記録するなど、直球の質は年々良くなっている印象です。難しいチーム状況も相まって、今季の評価をどうするかは見方が分かれるところでしょうが、連投も厭わないタフさは折り紙つきです。

7-2.三沢 大成(外野手・山形中央)

通算成績(R三沢)

8.東京大

(提出なし)

9.関連記事

 FIPやRC27について、またプロ入りにはどの程度の成績を残せばいいかについては以下の記事に書いていますので、あわせてご覧ください。

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