ヅカデミー賞2022 銀橋賞「男役部門」
月組 鳳月杏
2022年に出演したすべての作品を私が観劇できたという幸運を差し引いても、鳳月杏の活躍、実績は間違いないと確信しています。
彼女は2番手、主演といった立場や役割をきちんと果たした上で、「タカラジェンヌ」「舞台人」であることに集中し、もっと大きな存在=芸術家として常に邪念のない洗練されたパフォーマンスを魅せてくれます。
俊藤龍之介、トリトン、トム・ブキャナン、ロレンシオ、アルバレス侯爵・・・個性の強い、クセのある役が多かった1年です。
しかし、どの役も物語や登場人物との関係性の中に調和し、確かな存在感はありながらも決して一人相撲にはなりません。
その結果、それぞれの役が持つキャラクターのクセが不思議と心地よく、エンターテインメントとして自然に楽しむことができました。
実力、センス、リーダーシップ、調和。
きっと天性のものがあるのでしょう。
ですが、それ以上に鳳月杏という人は丁寧に時間をかけて「天性のもの」を磨いてきました。
さりげなく、でも誰よりも地道に。
振り返ってみれば「辿り着くべくして辿り着いた」とも言えますが、その過程で未来への希望は未知なるものでした。
そんな未知を切り開き続けた彼女の2022年は、それはもう素晴らしい舞台の数々で、1年にこれだけの質と量を極めて高いレベルで安定的に成し遂げたことはもっともっと高く評価されても良いと思います。
ずっと信じて愛し、応援しています。
その中で2022年は彼女の全ての舞台を観て、さらにその想いが強くなりました。
誰が何と言おうと、私にとって「希望という名の男」なのだと。
他の部門同様、独断と偏見ではありますが男役部門は私に希望を与えてくれた鳳月杏に心からの感謝を込めて、希望の一票を捧げます。