ヅカデミー賞2022 銀橋賞【芝居部門】
銀橋賞は私の1票です。
皆さんと同様、主観で2022年最高だと思うお芝居、ショー、男役、娘役を選んでいます。
芝居部門から発表いたします。
星組宝塚大劇場/東京宝塚劇場公演
「めぐり会いは再び next generation -真夜中の依頼人(ミッドナイト・ガールフレンド)- 」
2011年の1st season、翌年の2nd seasonから10年の時を超えて生まれた続編(3rd season)で、私の知る限り宝塚歌劇ではこれまでにない新しいスタイルの物語、作品だと思います。
(魅力が多すぎて文章よりも箇条書きの方が整理できると考え、今回は箇条書きで書きます)
・再演ではなく、物語が続いている
・各シーズンごとにそのシーズンの軸となる物語と、軸に関連する複数の小さな物語やエピソードで構成されている
・小さな物語は続編で軸に発展することもあれば、小さな物語のまま続くこともあるし一旦終わることもある
・続編で新たに生まれる小さな物語もある
・どのシーズンから観ても楽しむことができる(もちろん3rd seasonからでも全く違和感がない)
・登場人物が各時代の星組スターへの当て書きになっている
・小柳先生が星組の全ての組子に丁寧に配役、演出している
・もっと言えば、小柳先生は星組への愛を作品にこめている
・退団、異動したスターは舞台上には出なくとも「めぐり会い」の世界に生きている
・かといって無理のある物語設定、登場人物はおらず見事なハーモニーで3rd seasonまで進んでいる
・そして3rd seasonの終わり方からして4th seosonはほぼ確定と推測するのが妥当であり、期待と夢も膨らむ
・脚本&演出依存ではなく、各時代の星組カンパニーが強い個性と団結力で作品の完成度を上げている
・星組らしい「全員全力、全員がそれぞれの主人公」を貫いている。作品のために全員をまきこみ、全員に優しく、全員に厳しい文化が舞台から明確に伝わってくる
・「星組らしい」けれど内輪受けや閉鎖的な雰囲気はなく、異動してこの物語に加わったスターもすぐに仲間になって重要な登場人物を見事に演じている
・伝統は残しながらも常に新たな革新を継ぎ足していく、星組にとって老舗名店の秘伝のタレ、スープのような作品である
この素晴らしい構想がいつの段階で生まれたのか、偶然の産物か必然の計画なのかは小柳先生に聞いてみないとわかりません。
(計画性がゼロだったとは到底かんがえられませんが)
ただ、確かに言えるのは3rd seasonまで完成している、ということ。
そしてこの3rd seasonの完成度も素晴らしかったということです。
オープニングの段階でカンパニーが「めぐり会い」の魂を引き継いでいるということが伝わり、魂が震えました。
その後、何度映像で観てもオープニングでちょっと鳥肌が立ってしまうんですよね。
作品の構造と、構造に魂を打ち込んだ星組の歴史にロマンを感じずにはいられません。
厳しい中止期間を乗り越え、再びめぐり会えたことにも感謝しています。
作品に関わってくださった全ての方に感謝と敬意を込めて、私の1票とさせていただきます。