2022年:生きてきた時間に線をひくこと

 今年の四月に、第十三回創元SF短編賞を受賞しました。選考委員の山田正紀先生、酉島伝法先生、東京創元社の小浜徹也様、そして選考にたずさわられたみなさま、応募前に作品を読んで意見をくださったみなさま、いままで応援してくださったみなさまに、心から感謝申し上げます。

 私の2022年はこのできごとを中心に回っており、最初の一段落だけで済むといっても過言ではありません。
 とはいえ、いま感じることはいま記さなければ忘れていくもので、感謝はいくらあらわしてもあらわしすぎということはないわけですから、今日のうちに何か残しておこうと思います。

 それ以前と以後で、自分自身や過ごす時間の質が変わってしまったように感じるようなできごとというのが稀にあります。分岐点、と表現してもよいでしょうが、私からするともうすこしあいまいで、振りかえったとき、ふとそこに線が引かれているように見えるのです。
 今回の受賞はまさにそれで、こんどばかりは、まわりのかたからも線が見えるのではないかというほどはっきりしています。
 なにもかも新しく、落ち着かないほどぴかぴかのスタートライン。いただいた選評も最初は恐れ多すぎて直視できないありさま(その後、穴があくほど読みました。これからもずっと、行く先を照らす光のような言葉になると思っています。ありがとうございました)。
 笹原千波という筆名も2021年の後半につくったものですし、読みにいたっては受賞後に変更しました(応募時の読みは「せんは」、現在は「ちなみ」です)。Webでは6年ほど使った名義があったため、ふるい付きあいの知人から違う名前で呼ばれるのになかなか慣れませんでした。
 SF関係のかたと交流を持てたり、そのなかで情報に触れたり、私が見ている風景も受賞前とはまったく違います。

 そして、プロの編集のかたがついていてくださるのが、改稿をするにも新しく小説を書くにも心強いです。知らなかったこと、見えていなかったことがたくさんあらわれて、ひたすらあわあわしていた気がしますが、いつも優しくご対応くださった担当さんにはほんとうに感謝しています。
 受賞作の改稿にあたっては小浜さんにもご意見をいただく機会があり、なんと贅沢なのだろう……と、思いながら必死に直しました。ほんとうにありがとうございました。 

 受賞作「風になるにはまだ」が収録されたアンソロジー『Genesis この光が落ちないように』と、単話版の電子書籍は、9月30日に発売されました。嬉しいことに、多くのかたにお読みいただき、素敵なご感想をたくさんいただきました。ありがとうございます。
 現在は、次の作品に取り組んでいるところです。春あたりにお披露目できると思われますので、楽しみにお待ちいただけましたらさいわいです。

 来年はなるべくおちついて、着実に作品を増やしていけるように頑張りたいです。
 どうぞよろしくお願いいたします。


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