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災害大国で備えたい営業店の初動対応

 いざ災害が発生すると、「金融機関」または「個人」としてできることは限られている。そこで災害対応を考える場合、いかに事前に備えておくかが重要だ。金融機関は、金融サービスを提供するという社会的使命を帯びていることから、その業務を継続することが重要であり、日頃から一段と高い意識をもって「事前準備」を心掛けておくことが求められる。そこで本稿では、あらためて非常時を想定した留意点を整理した。

 巣鴨信用金庫 リスク管理部 課長 平松 知実

1 災害発生時の初期対応

 災害が発生した緊急時において、まず優先されることは、「人命」であり、行職員に負傷者がないか、家族、周囲に負傷者がないか、もし負傷者などがいれば、それに対応することが優先される。
 したがって、災害発生時には、全行職員について安否確認をすることが重要となり、誰が業務にあたることができるのか、またはいつから業務に復帰することができるのかを組織全体として把握することが重要となる。最近では災害発生時の安否確認ツールを提供する業者もあるため、本部により導入されていることも多いと思われる。安否確認ツールがある場合、まずは全員が手順にしたがって報告することが可能かどうか、日頃から訓練を実施しておく必要がある。
 安否報告にあたっては、自身について負傷の有無、家族について負傷の有無、自宅の倒壊破損の有無、出勤が可能であるか否か、可能である場合は所要時間について報告するよう、報告内容の手順を徹底しておくことが重要である。所定の安否確認ツールのない場合でも、何らかの形で連絡が取れるよう、日頃から連絡方法を共有しておくことが重要である。たとえば、災害の
影響により携帯電話での通話が困難になった場合であっても、ショートメールメッセージ(SMS)やLINEなどであれば、比較的スムーズに連絡を共有することが可能であることがある。ただし、これらの連絡手段については、非常時以外にみだりに私用などで利用されることのないよう、厳格な管理を徹底しておくことも併せて重要である。

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