タマが痛い!!ってときは恥ずかしがらずに病院へ!!緊急手術が必要カモ。

精巣、睾丸って男性にとって最大の急所です。キンタマですね。
ぶつけたりしたときに動けなくなるくらい痛む経験をしたことがある方もいるでしょう。

精巣が医学的に正確な名称です。2つあって、子供をつくるときに必要な精子を作っています。とても大切な臓器ですが、精子はヒトの体温では暑すぎて生きられないので身体の外にあるんです。陰嚢と呼ばれる袋(タマブクロ)にはいっています。

ぶつけたわけでもないのに、急に(多くは片側の)精巣がめちゃくちゃ痛くなったらどうしましょう??なんとなく恥ずかしいから病院に行かずに様子をみようと思いますか??

精巣が急に痛むことを急性陰嚢症といいます。このなかには見逃せない、そして緊急手術が必要になるものがあるんです。

ぶつけたわけではないのに急に精巣が痛くなったときはすぐに病院を受診しなければなりません。一体なにが起こっているのでしょうか??みていきましょう。

急性陰嚢症とは?

上述したように、突然発症する精巣の激痛です。極論ですが、急性陰嚢症をみた泌尿器科医がまず考えるのは精巣捻転症かそれ以外か?です。

心筋梗塞・脳梗塞という疾患名を聞いた方は多いと思います。緊急で手術や処置をしなければ生命を落としたり重篤な麻痺症状を残す、恐ろしい疾患と思われるでしょう。心臓血管や脳神経の専門医はこれら急を要する疾患と闘うため本当に忙しいです。

動脈血が臓器に突然届かなくなるとすぐに臓器が壊死してしまうために、血管の病気は本当に恐ろしいのです。癌や良性疾患ではそこまでの緊急性を要するものは少ないため、これらを多く扱う泌尿器科医では比較的緊急疾患が少ないです。

それでもいくつか緊急疾患があり、精巣捻転症の緊急性は重症尿路感染症と並び最上位です。急性陰嚢症で受診した患者さんの精巣は血管疾患なのか?しっかり見極める必要があります。

精巣捻転症とは?絶対見逃せない!緊急手術も

精巣は陰嚢内でころころ動くように思われるかもしれませんが、実は緩やかに陰嚢の内側に固定されていてグルンと回転しないようになっています。

精巣は陰嚢内にありますが、他の臓器と同様に身体の中心から動脈という通路を通った酸素を含んだ血液を受け取り酸素を供給され、酸素を渡した血液は静脈という通路を通って心臓に戻っていきます。これらの血管と、精巣で作られた精子が射精のときに通る通路は精索という通路の束になっています。

ストッキングの両方の足のところにテニスボールをそれぞれ入れて、ぶら下げたところを想像してください。テニスボールが精巣、その上でボールに引っ張られているストッキングのところが精索です。

それでは片方のテニスボールをぐるぐる回してみるとどうなるでしょう。

回しているボール側のストッキングはどんどん細くねじれると思います。
中を通っている血管はこのねじれのために潰れてしまい、精巣に酸素が届かなくなってしまいます。

まるで心筋梗塞や脳梗塞のようではないですか?
そのとおりで、そのまま放っておくと心筋や脳のように精巣が壊死します。

これが精巣捻転症です。すぐに診断し、捻転を解除する必要があるんです。

生まれた直後は精巣がしっかりと陰嚢内にくっついていません。また、それとは別に生まれつき精巣の固定が強くない方がいます。そのため精巣捻転症は前者で新生児期に、後者では思春期までに起こることが多いです。

精巣捻転症以外に考えることは? 2つ紹介します

実はたくさんの病気の可能性を考えます。精巣が痛いという方でも、実は尿管結石の放散痛だったり、消化器外科医が治療を行う鼠径ヘルニアの嵌頓が隠れていることも。。

ここでは特に可能性が高いものとして2つ、精巣上体炎と付属小体捻転症を紹介します。

①精巣上体炎

精巣で作られた精子は精管という管を通って尿道に合流し、射精されます。精巣から精管になる部分は少し太くて精巣に乗っかるように横たわっており、精巣上体と呼ばれます。

精巣上体に強い炎症を起こすと精巣捻転のように精巣にものすごい痛みが出ます。原因は尿道から入り込んだ大腸菌などの腸内細菌や、セックスで感染する淋菌・クラミジアなどです。

精巣捻転と違うのは、陰嚢は触れると熱く腫れ上がり、体温も上がります。39度を超えることも少なくありません。数日前から尿道炎や膀胱炎などの排尿に伴う痛みや違和感を感じていることもあり、診断の参考にします。

②付属小体捻転症

精巣や精巣上体にはぽっこりと小さな膨らみが飛び出ていることがあり、それぞれ精巣垂や精巣上体垂といいます。実は多くの人にこれらの付属小体は存在していますが、これらがねじれると、精巣捻転のような激痛になることがあります。

これらの小体は特に重要な働きをしているわけではないので、捻転しても緊急手術は不要です。ただし痛みは強いのでしっかり疼痛コントロールが必要ですし、薬剤コントロールが難しい場合はやはり手術で取り除くこともあります。

結局、精巣が痛いときにはどうすれば??

まずは病院を受診しましょう。精巣捻転が起こるのは夜中や早朝であることが多く、精巣の痛みで救急外来を受診するのは恥ずかしさもあるため病院が開くまでまとう、と考えるかもしれません。

しかし緊急性の高い捻転症の可能性があります。救急車を呼ぶのも恥ずかしいことではありません。対応できる救急病院を自分で探すのは時間の浪費です。

精巣が壊死すると精子を作る組織が半分になってしまい、妊孕性(赤ちゃんを作る能力)にも関わりますのですぐに処置が必要です。逆に精巣垂捻転の場合は疼痛コントロールするだけでよく、妊孕性にも影響しません。

これらの判断には専門医の力を借りるのが一番です。

結語

ぶつけてもいないのに精巣が痛くなるって、びっくりされると思います。相談していいことか迷うこともあるでしょう。

でも精巣は精子製造でも男性ホルモンをつくるのでも重要です。

超音波のできる泌尿器科医ならある程度の診断と、必要ならば緊急手術ができますので、まずはすぐに専門病院へ!こちらを覚えておいてください。

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