民藝 MINGEI

 芹沢銈介、柳宗悦、河井寛次郎。“民藝” と結びつくのはその3人の名前くらいだった。教科書で習って、意味もわからず、そのまま大人になって。芹沢銈介美術館に行ったり、柳宗理の鍋を買ったり、バタフライツールを買ったときに、また“民藝” という言葉に出会った。今度は意味がわかった。

 子どもの頃、暮らしの中にある道具を、特に美しいとも思わずに使っていた。古い箪笥、塗物、焼物、ガラス、刺し子、鉄器、欄間もそうかな。当たり前にあったから。でも祖父母や親が丁寧に扱っている姿を見ていた。大事に使うものだとはわかっていた。

 今、その姿こそが大事だったんだと思っている。

 民藝展を見た日の夜、粗末に奥にしまい込んでいた独楽塗りの大きなお盆を出してみた。まぁるくて可愛いじゃん。「お盆、使わないし。捨てよかな」と思ったことを謝る。ごめんなさい。
                           大阪中之島美術館

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