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FM84.0MHz Radio City presents "Saramawashi.com -The Vinyl Paradise" 084:カントリー・ロック特集

さらまわしどっとこむ -The Vinyl Paradise-
第85回(2023年5月12日(金)20時~
(再放送:5月14日(日)19時~)

清澄白河にあるカフェGINGER.TOKYOのオーナー高山聡(あきら)がお届けする音楽番組です。
全曲アナログ・レコードでお届けします。可能な限り7インチ盤で、しかもフルレングスでかけます。
サーフェスノイズにまみれた1時間、ぜひご一緒に。

今週はカントリー・ロック特集です。前回はイーグルスとその周辺人脈を特集しまして、ある意味、王道カントリー・ロックといった内容でした。今回は、「こんなのもあったよね」的な路線、周辺領域の音源で好きなものをご紹介しようというものです。

1曲目
「Someday Never Comes」Creedence Clearwater Revival (1972.05.)

2曲目
「Up Around The Bend」Creedence Clearwater Revival (1970.04.)

まず高山がカントリー・ロックを好きになった原因となったのがCCRでした。前回ご紹介したイーグルスの「魔女のささやき」が72年8月リリースだったんですけど、その3カ月ほど前、72年5月にリリースされたのが、CCRの最後の輝きのような曲「サムデイ・ネヴァー・カムズ」でした。これが大好きな曲でして、それまでも「雨をみたかい」とかも大好きな曲でした。そもそもCCRはシングル・ヒットを意識した曲づくりをしていたバンドですから、子供には妙にうったえるものがありました。疑似スワンプだの疑似サザンロックだのと言われつつ、泥臭さの中にキャッチ―なところがある、魅力的な曲がいっぱいありました。

日本でも非常に人気があり、文化放送かどこかのベストテンに4曲CCRの曲が入っていたこともありました。ビルボードでは5曲のナンバー・ツー・ヒットを持っているのに、ナンバー・ワン・ヒットがないという珍記録を持っております。CCRはフロントマンで作曲もするジョン・フォガティに人気が集中してしまい、内部のゴタゴタでマネージャーも兼ねていたトム・フォガティが脱退してしまいます。1972年に発表した7枚目のアルバム「マルディ・グラ」は、各メンバーの書いた曲をバランスよく収録し、ヴォーカル曲も分担した民主的なアルバムでしたが、結局4年ほどの活動に終止符を打ちます。

3曲目
「American Woman」Guess Who (1970.03.)

4曲目
「Albert Flasher」Guess Who (1971.03.)

お次、ゲス・フーです。カナダのバンドだからか、カントリー・ロックのネタからは外されてしまいますが、高山の認識ではカントリー・ロックです。ウィキペディアでもハードロックという分類になっておりますが、見た目も歌詞も田舎者丸出しです。ライヴが結構激しいのでハードロック的でもありますが、やはりカントリー・ロックかなと思います。70年代初頭までかなり魅力的な楽曲を連発しておりましたが、中心的存在だったバートン・カミングスと、後にバックマン・ターナー・オーヴァードライヴを結成するランディ・バックマンの方向性の違いから、上手く行かなくなってしまいます。

5曲目
「Your Mama Don’t Dance」Loggins & Messina (1972.11.)

「Thinking Of You」Loggins & Messina (1973.03.)

ロギンス&メッシーナもウェストコーストを代表するカントリー・ロックだと思うんですけど、後々ソロでやっていることが違うからか、案外カントリー・ロックのところでは名前が出てきません。でも、「プー横丁の家」をはじめとしたニッティ・グリッティ・ダート・バンドが取り上げた曲とかの作者として、ケニー・ロギンスはカントリーロックの中心的存在であることは間違いないと思います。あえて言うなら、カントリー寄りとロック寄りといったふり幅があるとしたら、私が好きなのはロック寄りのカントリー・ロックなのかもしれません。ちなみに、この人たちの7インチ・シングルのスリーヴを見ると「ジーンズ・ミュージック」というロゴが入っておりまして、なかなかに言い得て妙というか、カジュアルさが心地よいあたりと捉えていただければと思います。

7曲目
「Truckin’」Grateful Dead (1970)

8曲目
「Sugar Magnolia」Grateful Dead (1972)

もう一つ、カントリー・ロックとして括られることが少ないバンドとしてグレイトフル・デッドがあります。カントリー・ロックって意外に短い曲が多いんです。その中で、ライヴの長尺演奏が有名なグレイトフル・デッドはちょいと異質かも知れません。でもここでご紹介した2曲は7インチ・シングルですから、そんなに長いわけでもなく、演奏も典型的なカントリー・ロックかと思います。

9曲目
「For Someone I Love」The Souther Hillman Furay Band (1975)
10曲目
「On The Line」The Souther Hillman Furay Band (1975)

1974年と75年にアルバムを2枚リリースして、さっさと解散してしまう、ある意味スーパー・バンド的な存在、サウザー・ヒルマン・ヒューレイ・バンドがありました。イーグルスやリンダ・ロンシュタットに楽曲提供しているJ.D.サウザー、それからバーズ、フライング・ブリトーズ、マナサスといったバンドを渡り歩いていたクリス・ヒルマン、そしてバッファロー・スプリングフィールドやポコのメンバーだったリッチー・フューレイの3人ですね。名前を並べる辺りからもうかがえる民主的なバンドで、誰がリーダーでもなく、いいバランスでやっておりました。世間的にはファーストの方が評価は高いのですが、高山はセカンド・アルバム「トラブル・イン・パラダイス」の方が好きでした。中でもリッチー・フューレイが書いたバラードが沁みました。

11曲目
「Turn Back The Pages」Stephen Stills (1975.08.)

クリス・ヒルマンもいたマナサスはスティーヴン・スティルスがリーダーのバンドでした。このギタリストに関しては、CSNYの印象が強く、フォークロックで括られてしまい、あまりカントリー・ロックとして語られることは多くありませんが、やはりカントリーロックとしてもいい音源があります。1975年にソロ・アルバム用の録音を始めたところ、クロスビーとナッシュがコーラ―スを付けてくれた曲の感触がよく、結局CSNとしてY抜きの再結成に動くわけですが、そのソロ・アルバム、「スティルス」も隠れた名盤かと思います。「ターン・バック・ザ・ペイジズ」は後にシカゴのギタリストとなるドニー・デイカスと共作した曲です。

12曲目
「Let Me Down Easy」American Flyer (1976)
13曲目
「Light Of Your Love」American Flyer (1976)

アメリカン・フライヤーもフォークロックのスーパーグループと言われたわけで、カントリー・ロックで括られることはないわけですが、如何せんメンバーがカントリー・ロックの世界で有名な人たちだったりします。1976年と77年に2枚のアルバムを出して解散しますが、ファーストがとにかく名盤です。

メンバーですが、まずはピュア・プレイリ―・リーグのクレイグ・フラー、オジサンのイラストが有名なカントリー・ロックのバンド出身です。それからブルース・マグ―ス出身と言われてもピンときませんが、エリック・カズ、エリック・ジャスティン・カズとも言われます。イーグルス周辺人脈でもあり、前回ご紹介したランディ・マイズナーの「ワン・モア・ソング」というアルバムはサイドA全曲がエリック・カズの曲です。もうやたらと名曲をいっぱい書いている人です。それから、ブラッド・スエット&ティアーズからはスティーヴ・カッツ、ベースはヴェルヴェット・アンダーグラウンドのダグ・ユールということで、この辺はカントリー・ロック的性格は薄い人たちかもしれません。如何せんカントリー・ロックの中心近くにいる2人がおります。面白いのが、このファースト・アルバムのプロデューサーが、ビートルズのサー・ジョージ・マーティンなんです。

14曲目
「Love Has No Pride」American Flyer (1976)

アメリカン・フライヤーのファースト・アルバムにはもう一曲有名な曲の作者ヴァージョンが収録されています。「ラヴ・ハズ・ノー・プライド」という曲でして、エリック・カズとリビー・タイタスの共作曲です。リビー・タイタスはこの番組でも何度か登場しておりますが、ドナルド・フェイゲンの奥さんです。元は作詞者のリビー・タイタスのメジャー・デビューのために用意された曲ということですが、如何せん1972年にボニー・レイットに提供され、評判になってしまいます。続いてリンダ・ロンシュタットやリタ・クーリッジ、ロッド・スチュワート、それから石川セリさんなんかもカヴァーすることになる曲です。

15曲目
「Cry Like A Rainstorm」Craig Fuller & Eric Kaz (1978)

もう1曲、有名カヴァーの元ネタをご紹介します。アメリカン・フライヤーとしてではなく、1978年の「クレイグ・フラー&エリック・カズ」というアルバムに収録されているものですが、リンダ・ロンシュタットやボニー・レイットがカヴァーしている「クライ・ライク・ア・レインストーム」のオリジナル・ヴァージョンです。

16曲目
「Hearts On Fire」Randy Meisner (1982)

ラストもエリック・カズの曲です。ランディ・マイズナーと共作して、ランディ・マイズナー名義でヒットした「ハーツ・オン・ファイヤー」をお時間まで。

次回はジャック・ジョンソン特集です。お楽しみに。
番組へのご意見やお便りをください。
voice@fm840.jp

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