ICONIC 番外編② 「GorldEdge社」紹介
2061年に国際条約でクローン人間の開発が認められて早二十数年が経った今現在でも、クローン人間開発業界にてトップに君臨し続ける大企業が存在します。それが、「GorldEdge社」です。
GorldEdge社は2069年に京都府にて創業しました。同社はその高品質•高性能なクローン人間開発が大きく認められ、わずか2年で世界的な大企業に成長し、その名声•信頼は現在に至るまで一度も損なわれておりません。同社が初めてリリースしたクローン人間「Original Request : Type01」は世界で5機種目のクローン人間でありながら、設定可能な才能の数は5個と多く、記憶処理力も現在のクローン人間に負けていません。その後リリースされたType02、03も非常に評価が高く、未だにリメイク仕様の販売を求める声が上がっています。
また2073年に同社は経営方針を変えることを明言し、これがこの企業の最大の特徴「高級クローン人間」を作ったのです。先ほど紹介した「Original Request : Type01、2、3」シリーズは現在のGorldEdge社の平均価格に比べ非常に安価だったのですが、顧客の求める「最高品質」「他社に引けをとらないクオリティ」に応えるためにはより多くの資金が必要だったのです。確かに、高級なクローン人間の販売を開始してから販売個体数は少なくなりましたが、以前から確実にあった信頼や名声のお陰で完全に顧客がいなくなることはありませんでしたし、この方針が悪く作用していないということは未だにクローン開発業界でトップに立っていることが何よりもの証拠です。
2075年には世界の様々な国から軍隊仕様のクローン開発が求められ、同社は特別仕様の非売個体「GorldEdge:NewKnights」をわずか3年後の2078年に開発しました。この個体は他のクローン人間に比べ筋肉がつきやすく、殴打や刃物などによる切りつけの痛みを感じにくいようわざと痛覚を退化させているほか、血小板を多く生成できるようになっているため出血してから止血するまでの時間が非常に短くなっています。また生体系THTの「ナノ ナイト(マキシマム社)」との相性が非常に良く、これを使用することで被弾による出血箇所の止血が早まります。このように、純身人間の戦闘における欠点をほぼ全て補った「GorldEdge:NewKnights」は非常に好評だったのですが、その値段から一部の国の軍隊のみ導入できている状態です。
2080年にはアルファグレード・スーパーグレード・エピックグレードの第一世代の販売が始まり、さらに人気の出た同社ですが、その2年後クローン開発企業として異色のサービスを開始します。それが「オーダーメイド・クローンサービス」です。このサービスは名前の通り顧客の望む通りのクローン人間をデザインできるもので、最終成長時点での身長(誤差は数センチ)、NewKnightsシリーズの技術転用による筋肉のつきやすさの調整はもちろん、様々な種類のTHTとの相性の設定などができます。才能は最大で驚異の12個を設定でき、また同社は才能開発も力を入れているため選べる才能はなんと約50種類。そのうえさらに細かいオプションをつければ才能の選択肢は100を超えます。しかしこのサービスは非常に高価で、その価格は最低でも8000万円になります。とはいえこのサービスは人気のため、当時予約が殺到していたようです。
この企業のMOTHER(クローン人間開発における全てのクローンの複製元。詳しい説明は割愛させていただきます)は全部で3体おり、最新個体に至るまでのクローン遺伝子操作回数はなんと428回。常にアップグレードをし続けているのです。またどのMOTHERも複製元として非常に優秀で、それら3体を存分に合成•調整•改良を進め開発している期待の新作「GorldEdge/NEVER FADE AWAY」、通称「NFA(ナファ)」はなんと四社共同開発。高性能でリーズナブルが特長の大企業「テクノ・カイザー社」、世界最高峰の武装THT開発企業「ヘルドッグス社」、幅広い分野を取り扱いながらも全てが超高性能なTHTであるTHT開発の代表企業「サマセット社」が「NFA」の開発に携わっているそうです。ただの筆者の私ですら興奮してしまうほどの錚々たる企業の数々、断言しますがこの「NFA」は世界を大きく変えるクローンになります。
今月のヴァールハイト誌の特集は「GorldEdge社」でした。本来なら今月号にはTHT開発企業の特集が組まれる予定だったのですが、THT開発の大手企業「機龍」が来月新作の発表をするため急遽GorldEdge社の特集を組むことになってしまいました。来月の特集は「機龍」の新作THTとTHT開発企業、そしてクローン開発業界を解説するにおいて外せない大企業「テクノ・カイザー社」になります。お楽しみに。
編集:元木記者
注)この作品はフィクションです。それっぽく書いてますが、おそらく日本に“ヴァールハイト”という名前の雑誌はありません。多分。あったらすみません。
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