見出し画像

「物価と名目賃金の循環構造」no.20-3

 インフレ抑制政策の中心は、総需要抑制政策である。そして、その中心的政策が金融引き締め政策である。インフレ予想を考慮して、開放マクロ経済の定常均衡の安定性について分析する。この場合は、名目為替相場の変動に内外金利格差のみが直接影響を及ぼす場合、貿易収支のみが直接影響を及ぼす場合、いずれも一般的には不安定である。
 これまで、中央銀行は予想インフレ率がマイナスか低く、その影響が現実のインフレ率に十分に反映しないデフレの特徴に困難性を感じてきたが、インフレ経済構造が定着し、予想インフレ率が高く現実のインフレ率に十分に反映され、加速的インフレーションの可能性が強まることに悩まなければならなくであろう。インフレ予想が実体経済に強い影響を持つインフレ経済は、総需要決定モデルでは、一般的には不安定である。

ここから先は

3,931字

¥ 700

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?