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「物価と名目賃金の循環構造」no.22

 マンデル=フレミング・モデル(以下、MF・モデル)も、実質生産量の総需要決定モデルであると、筆者は考えている。この規定自体が、大きな論争に晒されているが、筆者の捉え方は、後述するが、こうである。
 これまで、数回に渡って、総需要決定モデルで加速的インフレの不安定性について分析してきた。その最後を飾って、MF・モデルで、この課題を検討する。それは、いまだに、このモデルと分析結果が、政策論争の一方の陣営で確固とした地位を保っているからである。金融政策の財政政策に対する優位性、政策のトレードオフやトリレンマを顧みれば、それは明らかであろう。遡って源流を探れば、リフレ派でさえ、このモデルを肯定するであろう。加速的インフレ抑制政策が需要サイドに影響を及ぼすことによってその目標を実現しようとする限り、このモデルとその分析結果に触れないわけにはいかない。

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