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「金融財政政策雑感」no.23

   インフレ目標付き名目利子率誘導金融政策と財政政策の有効性を加速的インフレーションマクロ経済モデルで比較検討する。これまで、物価変動なしの最も単純なモデルで、この課題を分析して基本的な政策命題を提起したのは、マンデル=フレミングであった。その拡張、修正は歴史的に数多く試みられてきたけれども、依然として重要なことは、その淵源に潜む基本的な矛盾や非整合性であることは言うまでもない。単純なモデルだからといって、そのことを黙視することは非科学的な態度である。内生変数決定における矛盾や両義性を含まないとは言えず、たえず整合性の検討を怠ることは、分析上の誤りを拡大再生産し、つじつま合わせに陥ることに留意しなければならない。
 筆者のモデルの特徴は、単純化のために財市場均衡は仮定する。動学方程式は、実質為替相場と予想インフレ率の2変数である。名目為替相場変化率の予想と現実の一致は一般的には成立しない。この一致は最終均衡で成立する。最終均衡は一般的には不安定である。

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