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「為替相場の不安定性理論」no3-2

 マクロ財政支出政策に関して、名目政府支出を政策変数とするモデルも考えられる。つまり、政府は支出政策を実施する過程で貨幣錯覚に陥る。これは、過去から、インフレ率の高低が実質財政支出乗数に影響を及ぼす問題としてよく知られている。この問題が、マクロ経済的枠組みの中で、為替相場の不安定性問題にどのような影響をもたらすのかを検討する。その際、金融政策変数は実質貨幣供給とし、通常と異なる逆アシンメトリーを仮定する。このようなモデルは詳しく検討されてはいない。
 筆者は閉鎖経済モデルでこの政策的仮定の場合を検討したが、名目貨幣供給、実質政府支出が政策変数であるとする半ば専門家の中で常識化した非対称性を仮定したモデルの動学的安定性については全く異なる条件が導かれる。

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