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「現金・預金と証券の経済的関係を考える」no.16

 利子率決定のテイラー・ルールをマクロ経済モデルに接合したマクロ・ニューモデルが出現したのは2000年初頭の頃である。それから四半世紀到達が目前となっている。利子率決定のためのLM曲線のないケインジアン・モデルという触れ込みは、当初、マクロ経済モデルの大きな転換であると意識された。戦後の経済学の数少ないパラダイムの転換の一つであり、その整合性には十分な理論的検証が必要であった。筆者は、利子率決定の分析装置をLM曲線とするかどうかはともかく、ケインズ理論を源流としてヒックスに引き継がれトービンなどの俊英がリファインして再構築したLM曲線理論は決して低山ではなく挑戦するべき高い峠であることに間違いはない。戦後、最初にこの峠を越えようとしてニューパラダイムを打ち出したのは、マンデル=フレミング(MF・モデル)、であった。筆者はこれまで、このニューモデルとMFモデルの統合理論を発表してきた。これは、両者の理論的整合性の検討なくしてはなし得ない業績である。筆者は、この金字塔に向けて牛歩のごとく前進しつつある。現在、実証的には、市場利子率の数年のデータをテイラー・ルールの示す利子率と重ね合わせて分析するということが数多く提出されている。これに照応して理論的にも前進するべきである。

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