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500字書評500冊no.3

 今回は、超一流の研究者の異色の5冊の本の書評を公表する。最後の2著作は、経済学の最新のテーマを取り扱ったものである。いずれもコロナ禍に突入する前年の刊行である。それだけに、評者がコロナ禍の経験を踏まえて書評したのでは、フェアなものとはならない。幸いに評者がこの書評を書いたのは、2019年の刊行直後であることを記しておく。改めて修正せずに公表する。長沼氏、佐藤文隆氏は、自然科学者である。書評する著書は、いずれもエッセイである。最初の著作は、心理学者とサイエンス・ライターの共著である。すでに、第1回目で、書評という社会的行為の本質について述べたが、ここでは、その中の、読者との関係性について比喩的に敷衍しておきたい。以下の作品の著者は、すべてそれらの分野の優れた研究者である。凡庸な評者が口をはさむ余地などないともいえる。にもかかわらず書評が成立するのは、リサイタルに登場する歌手がいかに優れた歌い手であっても、聴き手である観客と歌手とを繋ぐ司会者は必要であり、司会者こそ観客を歌手の面前に連れていく役割を担う者である。書評とはそのような役割ではないだろうか。前置きはそれぐらいにして、以下、対象の作品を紹介しておこう。・アンダース・エリクソン(フロリダ州立大学心理学部教授) ・ロバート・プール著『超一流になるのは才能か努力か?』土方奈美・訳, 2016年。・長沼毅著『時空の旅人 辺境の地をゆく』MOKU出版 2012年。・佐藤文隆著『科学と幸福』岩波書店 1995年。・翁邦雄著『移民とAIは日本を変えるか』慶應義塾大学出版会 2019年。・真壁昭夫著『MMT(現代貨幣理論)の教科書 日本は借金し放題?暴論か正論かを見極める』ビジネス教育出版社 2019年。

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