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「金融財政政策雑感」no.28

  前々回(no.26)解説した古典的な加速的インフレ・モデルでは、インフレ率の予想値が現実値に収束する長期均衡では、インフレをコントロールしているのは金融政策であり、財政政策ではない。財政拡張政策は短期では有効であるが、長期均衡では有効性を失う。だが、このマクロ的分析は、財政政策に関する限り、皮相な見解をもたらしている。古典的モデルでは、貨幣供給と財政支出の取り扱いとその経済主体の取り扱いについて非対称性が存在する。その非対称性が影響しているのであるから、その根拠が徹底的に明らかにされない限り、この皮相な見解は淵源に突き刺さる深淵な見解とはならない。今回は、この論点を単純なモデルで示す。

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