十月 追憶茶会〜さつま芋のケーキ
十月の記憶の中の光景は
いつもおなじシーンだ
1964年 十月十日
東京オリンピック開会式
早逝した父の三回忌の準備で集まった
まだ若かった伯母たちの
やわらかく、華やいだ声と
割烹着に身を包み
翌日のお斎の準備をする慣れた手つき
次々と出来上がる湯気に包まれたご馳走
いつもは母、兄、私だけの
ひっそりと静寂に包まれた田舎の広過ぎる家に充ちる
にぎやかさが
十二歳の私にはなによりも嬉しかった
「ほらほら始まったよ」とみんなでテレビの前に正座する
最終ランナーの昭和2