ポケカにおける「メンタル」とは

ついにCL京都まで1週間を切った。
出場予定の選手たちはデッキ選択に悩んだり既にデッキを絞って練習に入ったりと、各々準備を進めていることと思う。

最近になって、私は「現代ポケカにおける強さとは何か?」を考えていたのだが、一つの有力な答えに到達した。
それが「メンタル」、精神面の強さである。

というのも、ここ最近ではTCGのデッキは「作るもの」ではなく「選ぶもの」であると言われるようになり、いくらでも強い構築や試合での立ち回りがネット上に共有され、誰でもそれらを模倣することができるようになった時代なので、「強くなるためのハードルが昔に比べて大きく下がった」と言われている。
そのため、デッキはみんな中身が同じ、プレイングもデッキさえしっかりしていえば勝手に身に着く(デッキタイプによって差はあるが)、となると、大会で勝敗を分けるのはデッキやプレイングではなくなってくるということになる。

では、何が勝敗を分けるのか。
そこで大きな要素となるのが「メンタル」である。

もちろん上記の二つ以外で勝敗を分ける要素として「運」もある。ポケカ四天王レベルのプレイヤーでも運が悪ければ0-3や2-3で会場を去ることもあるし、トーナメント進出者が次の大会で0-3という結果に終わってしまうケースも目撃したことがある。しかし、ある程度の頻度で結果を残す人がいる一方で全く結果を残せない人が数多くいるということは、運だけでは決まらないことを示している。

なぜメンタルが大切だと考えたかというと、私が活動している地域はかなりレベルが高くCLやJCSの上位入賞経験者が数多くいるのだが、自主大会/シティでも大型大会でも安定していい結果を残す人がいる一方で、自主大会やシティでは毎回のように上位に食い込んだり優勝できるものの大型大会になると2-3や3-3であっさり会場を去ってしまう人もいるからである。しかもその両者は綺麗に分かれていたりする。

もちろん自主大会やシティとなると大型大会より規模が小さく試合数も少ないため、上振れ上位を狙いやすいというのはあるかもしれない。しかし、だとしても、安定して自主大会やシティで上位に食い込める人が大型大会になった途端早い段階で3敗してしまうというのはおかしな話ではないか。チャンピオンズリーグは抽選で参加者を決めるため、全員が全員選ばれし強者というわけではないので、周囲のプレイヤーのレベルが急に上がったわけでもない。

彼ら…ではなく私もこの例にしっかり該当するため「私達」と言い換えよう、私達と、安定して大型大会でも上位に食い込める人たちとの一番の差はやはり「メンタル」ではないかと思う。

具体的には、「負けることへの恐怖心」がプレイングを狂わせるのではないかと思う。デッキさえしっかりしていれば後は決められた動きを想定していた場面でしっかりすればいいのだが、「メンタル」の弱さがそのプレイングを狂わせるということである。ましてロストやサーナイトexなど、練度に依存するデッキタイプとなると猶更メンタルの影響を強く受けることだろう。
私もつい勝負に真剣になりすぎて、「負けたらどうしよう」という不安に駆られることは多い。そういったプレッシャーを感じやすい人ほど大型大会で結果を残しにくくなる。
言ってしまえば、「負けたら負けたで早く帰れるしサイドイベントで景品回収できるしいっかー」くらいの気持ちで挑んでいるプレイヤーの方が、本番でプレイングミスをしにくいのではないか。

これを示す根拠として、「ジムバトルなら誰でも優勝できる」というものがある。
各店舗で毎週開催されているジムバトルで全く優勝したことのない人は少ないだろう。もちろんジムバトルはせいぜい3~4試合程度しか行わないため、ちょっと上振れた人が勝ち、ちょっと下振れた人が負けるだけの大会ではあるのだが、ジムバトルなら誰でも優勝できる理由として、「メンタルで勝負が決まらない」と言うのが大きいと思う。ジムバトルは負けても別に失うものはないし、勝たないといけないプレッシャーも特にない。ジムバトル程度で緊張する人はいないだろう。つまりジムバトルは「メンタル」で差がつかないので、誰でも試行回数を稼げば(強い人が多い店舗でも)優勝できる可能性が十分あるということになる。

もちろん、メンタルというのはそう簡単に努力で身に着けられるものではない。メンタルの強さが後天的に身に着けにくいというのはプロのスポーツ選手を見ていればよくわかる。
(テニス選手がラケットを試合中に破壊する事件は毎度起こっているし、アマチュアよりもずっと場数を踏んでいるはずのプロの選手がアマチュアよりもメンタルが弱かったりするのがいい証拠である。もちろんメンタルは歳を重ねると落ち着いてくる傾向も見られるため単なる踏んだ場数の差ではないかもしれないが)
また、スポーツを経験している人の方が経験値の差でメンタルが強いイメージがあるかもしれないが、そうでもない。現に私よりもスポーツを経験していない人たちの方がメンタルが安定していたりする。

本番での勝負強さを身に着けるためには、練習でも試合と同じ気持ちで臨むか、本番でも練習と同じ感覚で挑むかしかない。しかし、ジムバトルやフリーでそこまで真剣になれるほどポケカに命をかけている人はいないだろう。

となると、メンタルに難を抱えている我々ができることは、少しでも「本番である」「負けたら終わり」という意識を捨てることではないだろうか。勝つことに対する執着を少しでも捨て去ることが、本番での勝負強さに繋がるのではないだろうか。
結果を残している人たちは声を揃えて「負けても最後まで楽しむ」と口にしている。彼らを見習う必要があるのではないか。

皆さんの検討を祈って、この記事を終えたい。


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