ライフスタイル提案と買い物の価値

服が本当に好きな販売員さんが減ったなって思う。接客の中にうんちくとか、販売員の教えてくれるこだわりがなくなったなって思う。

でも、今はそんなん求められてないのかもしれない。
リネンだとかオーガニックコットンだとか、シーズン通して使いやすいとかね。。。
そんなん、見りゃわかるわということしか教えてくれない。
せめて、デニムの赤耳とかイエローステッチみたいな、そんな話が聞きたいなとは思う。

でも一方で、セレクトショップは過剰に見えるほどライフスタイル提案をしてる。僕はそれがなんか買い物を楽しめなくて。
どこもかしこもサロンみたいになっててアロマの香りがしてて「提案型」しすぎて、うんざりしている。

こちらが何を楽しむかをみつけるような隙がなくなってきてる。

僕は昨日、自分の講座では「ターゲットはできるかぎり明確にしましょう」って言った。世界観をつくりましょう。誰がそこにいるかわかるような提案をしましょうって。

でも実際に、手取り足取り提案されてしまうと、それは売場の作り込みとは相反して、それ以外のことが何にも想像できないものになるんだ。
まるで選択肢のないゲームをプレイするみたい。

それが売れてるんだから「良い」ってことなんやけど、たぶん、買う側の人が「わかりやすい」ってことと「価値がある」を混同してるんだよ。実感しやすいってだけで。

なんだかブランドとかお店の批判みたいになってしまったけど、思うに結局は買う側のほうに主体性がなくなって、「買い物」の価値が貧弱になったんだと思う。

みんなその提案されたスタイルに寄せていくだけでしょう?
服でもランチでも、自分が選んでるんじゃなくて、好きなブランドや店に、自分が合わせていってるだけなんだよ。

しまいには、提案できないのはブランドとしてダメとか、提案できない店員はサービスとしてダメ、とかいいだして。
それって裏を返せば、提案してもらわないと自分には何もありませんってことになるよ。

ほんとこの10年くらいで、街のみんながすごくオシャレになったと思う。老若男女服装が洗練された。
カフェも服屋さんも本屋さんも、めっちゃかっこよくなった。

だけど、なんかそれが、全部カタログから選んだみたいで、みんな自分が本当に好きな服じゃない、アバターの着せ替えデータみたいに見えてしまうんだ。

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