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ビデオプロトタイピングワークショップ

ノムラです。
誰もが呼吸するかのようにプロトタイピングすることが全人類を幸福にする道だと信じております(真面目に)。
そんな想いから大学の授業で非常勤講師してプロトタイピング教えたりとかもしています。

先日、都内某所でGUIプロトタイピングのワークショップと、ビデオプロトタイピングのワークショップを行いました。
前者の方は割とよくあるペーパープロトタイピング実践のワークショップなのですが、後者のビデオプロトの方は世の中的にまだ目新しさあり、私としても新たなチャレンジであったので、noteに書き留めておこうと思います。

経緯・発端

前々からアンカーデザインの木浦さんと「プロトタイピングの啓蒙活動みたいなことしたいねぇ」という話をしていたのですが、定期的にプロトタイピング(および定性リサーチ)のワークショップやろう、という話が持ち上がり、3月と4月に実施したました。(5月も行います。)

プロトタイピングの軽めな研修プログラムを作ってマネタイズしたい、みたいな意図あるのですが、ひとまず手探りでいろいろやってみようというフェーズです。

で、「目新しさありつつも気軽にやれるプロトタイピング」としてビデオプロトタイピングが良さそうだと考え、3月にプラン考えたり告知したりと動いて、さる4月5日に実施しました。

ビデオプロタイプとはなんぞや?については以下のアンカーデザインさんの記事に詳しいです。

プラン検討

プログラム・時間配分

動画編集ツールを使ってムービーを作るワークショップですので、
「ツールの扱いを習得する時間を考えると半日は要るかな…」
「撮影は結構時間要るから、丸一日くらいないといかんのでは…?または半日x2回とか」
といった議論をしたのですが、結局参加しやすさを考えると「平日夜の時間で、MAX3時間だな」という結論になり、無茶かなと思いつつも以下のように検討しました。

  • 最低限の動画編集技術はレクチャーする。30分くらいで。

  • 撮影や編集よりも、シナリオ作りに比重を置くような時間配分にする。

  • プロトタイプのアイデアは運営側で用意しといて、アイデア出し時間は限りなくゼロにする。

  • 極力個人ワークにして、参加者同士が議論する時間を最小化する。(ただし、撮影は1人では無理なので、終盤はどうしてもチームワークになる)

人数規模

新しい試みなので、あまり多くの人が集まってしまうと予期せぬ不都合が出そうで怖いです。
とはいえ、ある程度の人数が揃った方がアウトプットに幅が出て面白いし、チームワークも行いやすいです。
というあたりから、定員を20名としてました。(結果としては、13名の方にご参加いただけました。)

ツール

結構悩んだのが、動画編集ツールをどうするか、という点です。
おそらくワークショップ中にインストールする時間的な余裕はないし、OSによってUI違ったりしても扱いづらいので、ブラウザから使える動画編集ツールを探しました。

作るものはあくまでプロトタイプなので、あまり凝った映像を作れる必要はないのですが、「キャプションや字幕を入れる」「図を重ねたりエフェクトをつける」あたりはできた方が、伝わりやすいムービーを作るに好ましいです。

また、無料で使用できるものであること、サインアップが容易であることも大事ですね。

などなど検討した結果、FlexClipというツールに落ち着きました。

プログラムざっくり検討

ワークショップイベントとしての時間は19:00-22:00の3時間ですが、実際には最初の10〜20分でもろもろの説明・解説を行い、終わりの20〜30分は成果物発表とレビューの時間となるだろうことを想定し、2時間強でムービーを作り切れる形を考えました。

  • 30分で、動画編集ツール(の基礎)を習得

  • 15分でアイデア出し

  • 20分でシナリオ作り

  • 30分で、個々人でラフなムービー(紙芝居レベル)を作る

  • 30分で、チーム単位で撮影&動画編集

こんな感じです。一応2時間強で収まりはしますが、なかなかにタイトです。

テストプレイ

アンカーデザインのメンバーに協力してもらって、2回に分けてテストプレイをしました。

  • テストプレイ1回め(実施2週間前):
    Slackベースで実施。プログラム内容を伝えて、手元で作業してもらう。作業する際には時間を測ってもらう。

  • 1回めのあと:
    作業結果を踏まえて内容を調整。
    付け足したり端折ったり統合したり、時間配分考え直したり。

  • テストプレイ2回め(実施1週間前):
    開催予定地であるコミュニティスペースに運営メンバーで集まって、調整したプログラムの流れを確認。ビデオプロト作成のための撮影なども行ってみる

以下は、テストプレイ2回めのあとに投稿したワークショップ宣伝ツイート。

こんな感じです。大枠の流れは当初の案のままで問題ありませんでしたが、時間配分やアウトプットの形式、運営側で用意する素材データや資材などが当初の予定からだいぶ変わりました。やはりテストプレイ(ワークショップのプロトタイピング)大事ですね。

プログラム内容

ざっくりですが、ワークショップのプログラム内容を以下にまとめます。

【最初の15分くらい】 イントロダクション

まずはこのワークショップの主旨とか、「プロトタイプとはなんぞや?」「何のためにするのか?」のような前提知識や、ビデオプロトタイピングの事例紹介などを行います。

【30分くらい】 動画編集ツールの紹介と動画作りウォーミングアップ

参加者の多数は動画編集に不慣れであると仮定して、動画編集ツールを紹介します。
今回はFlexClipというツールを使いました。数分で何ができるツールであるかを伝えて、そのあと20数分程度、実際にツールを触ってもらいます。

練習題材としてすごくシンプルな説明ムービーを運営側で用意しておき、それと同じものを作ってもらいました。

【10分くらい】 作るものアイデア出し

このワークショップで何をプロトタイピングするのかのアイデアを出し、題材を決めてもらいます。
ここにあまり時間を割けないので、運営側からおおまかなテーマと15個程度の具体案を提示して、それをヒントに各々一案ずつ考えてもらいました。

【20分くらい】ストーリーボード作成

いわゆる絵コンテ作成です。作成する動画のストーリーを紙に書き出してもらいます。

【20分くらい】 スライドショー作成

絵コンテを素材にして、シンプルな動画作ります。
こんな感じで、粗いものですが、何はともあれ1人1つ動画を作ってもらいます。

【10分くらい】チームを作って、チームで取り組む題材を決める

ここまで個人作業で進んできているのですが、最後のワークはチームで取り組みます。
3〜4人毎に一つのチームを作り、チームで取り組むテーマを一つ選びます。

【40分くらい】動画撮影&編集

先のワークで作成したスライドショーを実写化する形で、ビデオ制作してもらいます。チームのうちの2〜3人が撮影する傍らで、残り1人が並行して編集を進める、という形になります。
お手本として運営側で作成した動画を参考に、1分程度の尺で作ってもらいます。

【15分くらい】プレゼンテーション&まとめ

各チームの制作物である動画を参加者全員で鑑賞して、コメントし合います。ファシリテーターから軽くまとめの言葉を申して、ワークショップ終了です。

実施・振り返り・反響

実施前に最も不安だったのは「人全然集まらなかったらどうしよう」という点だったのですが、3〜4人のチームを4つ作れる程度の人数に参加いただきまして、ちょうどいい集まり具合でした。
運営側として無理なくケアできる規模感でありつつも、ほどよくアウトプットに幅が出る、よい塩梅のワークショップになりました。

アウトプットだけでなく、行動のペースもチームによって幅があって面白かったです。
チームワークが始まり次第、即座に撮影を始めるチームもあれば、議論と検討にそこそこの時間を割くチームもありました。

ペースはさまざまでしたが、各チームしっかり最終アウトプットにたどりつくという、素晴らしい結果を得ました。(正直、企画段階では「作り終われないチームはあるだろうなぁ」という想いだったので、参加者皆様の献身ぶりと行動力に驚いております。)

そして、ただ作るだけでなく、クイックな検証と試行錯誤というプロトタイピングの本質を体験いただけたようでした。

参加者のみなさんからも良い感じに反応いただけました。

実施後の感想アンケートにも、参加者のほとんどの方から回答いただけてとても嬉しかったです。

今回のワークショップの参加者みなさん、前のめりに物事に取り組んでくださる方が多かったようで、撮影&編集という結構な難度のワークに積極的に取り組んでいただき、実施後の反応もたくさんいただけて嬉しい限りです。

反面、このワークショップを企業内の研修のような、「必ずしも全員が積極的なわけではない」場で行ってもうまく進行できるだろうか、という懸念があります。ここは検証したいところです。

今後について

せっかくスライドやらお手本動画やらいろいろ作ったし、今回いくつかの改善点も得たので、このワークショップはまた行いたいと思っています。(6月に再演を予定しています。)

また、ビデオプロトタイピング以外にも、木浦氏と組んで月1ペースでリサーチやプロトタイピングをテーマにしたワークショップを行っていきたいと思っています。(記事冒頭でも触れましたが、次回は5月11日に、「プロダクト・サービス開発のためのインタビュー基礎講座」というテーマで行います。
ご興味お有りの方には、ご参加いただけたら嬉しい限りです。

また、企業様からの「うちの社員対象にワークショップして欲しい」といった依頼も大歓迎です。(まだこちらも試行錯誤段階なので、お手頃価格でご対応できると思っております。)

では

ワークショップにご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました!
そして今後ご参加いただけるどなたか!どうぞよろしくお願いします!!!


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