ハラキリレポ 1
成熟嚢胞性奇形腫(卵巣嚢腫)で腹を切ってきました
Twitterではイエーイハラキリデビュー★とか抜かしていたんですが、この成熟嚢胞性奇形腫とかいう病気、二十代から三十代の女性が多くかかるということで、誰かの何かの足しになるかな、よし、レポってみるかとこのたび筆を執ってみた次第でございます
というか病棟にWi-Fiが飛んでなくてめちゃくちゃに暇なので入院生活の暇つぶしです 羅生門イベント周回したい~~~~
基本的に暇つぶし文なのでめちゃくちゃまとまってない上にクソ長いと思います 気を付けてください
最初に成熟嚢胞性奇形腫という病気について簡単に
といっても私も通信速度制限におびえながらスマフォでぽちぽち調べた程度の概要しか知らないのですが(お医者さんが説明してくれた時は腹が痛くて三割も聞いてなかった)、簡単に言うと腹にピノコが出来る病気です
卵巣というのは文字通り子供のもとになる卵子が製造される臓器です
ここには一生分の卵子の細胞がぎゅ~~っと詰まっておりまして、毎月毎月そこからポーイと一個卵子が放出されてどうこうというのが生理の仕組みです
でこの卵子の細胞 これがバグを起こして、卵巣の中で勝手に細胞分裂を始めてしまうというのがこの成熟嚢胞性奇形腫のはじまりです
ちなみに卵巣内では髪とか脂肪とか軟骨、歯や骨に分化することが多いそうです だからピノコですね
何でそんなバグが起こるのかとかはいまいち良く分かっておらず、まぁホルモンバランスとかなんかそういうのなんだと思います 病気の原因なんて大体そんなもんよね
この病気の面倒くさいところはほとんど自覚症状が無いという点
卵巣という臓器自体に痛覚などがある訳では無く、腹の中で勝手に膨れ上がっているだけでは基本的に気付くことが出来ません よほど大きくなってやっとお腹の上からしこりが確認出来たり、他の臓器が圧迫されて便秘や腰痛なんかが起こる程度らしいです しこりは兎も角便秘や腰痛て 女の子三種の神器ワンツーフィニッシュじゃねぇか 気付くかよって
基本的にこの病気が発覚するのは、別件で検査をしてCTを撮ったら偶然写りこんでとかMRIを撮ったら写り込んでとか子宮ガン検診をしてみたら偶然引っかかってとか見切れ芸人みたいな感じ そうでなければ私のように茎捻転を起こして救急でという形が多いようです
茎捻転 ハイ初めましての単語が出ましたね 茎が捻転 もう字面からアレですね~
茎捻転ってなあに~? といいますと
エロ漫画など嗜まれるみなさんにはお馴染みであろう子宮の模式図、あれには少々簡略化されている部分があることに気付いてる方、いますよね?
卵巣ね 卵巣なんか浮いてない?って 私もね常々微かに不思議に思っては居ました 卵巣コレ何に支えられてるの? 浮いてるの?
浮いてないんですよ勿論 ちゃんと支えられてるんですよ何か…筋肉的な紐っぽいやつに…
卵巣嚢腫になると、この支えている卵巣がメッチャ重くなるわけです 物理的にねサイズもまぁ、育ったな~!って感じの大きさになります
具体的に言うと、卵巣って普通だと空豆くらいのサイズらしいんですが、それが拳大とかになったりする
そ、育ったな~~!!!!って感じですよね 貴方が気付かせた恋が貴方無しで育っていくようだな~~!!!(?)
筋肉的な紐っぽい奴の方もいやいやいや闇に浮かんだかがり火に照らされたらジョバイロジョバイロって感じでなんやかんやありまして、ガッツがあればしばらくは支えてくれるんですが、割とグリッと捻りがちになってしまうんだそうです なんでやねんと思いましたが捻るもんはしゃあなし 捻りました私の腹の中でも
するとまぁ靭帯みたいなものなのでね 腹の中では激痛です 内臓を捻られているような痛みって言いますけどガチで捻られてんだからなマジで痛い これが茎捻転という症状です
お腹メッチャいてぇ!!!!!救急車を呼ぼう!検査をしよう!ハラキリ!!!!!!!!!!!!!! 今回のお話は基本この流れです
事の始まりは五月の末 仕事がお休みのある日の事でした
のほほんと昼前に起き、朝昼兼用のベーグルを食べてホモ読んだり女体化の事を考えたりしていたら、急に腰が痛くなってきました
まだその時は余裕なもんでTwitterにも「うわめっちゃ腰痛い…死…?!」みたいな事を呟いていたりします マジあの時の私ふざけんなよと今では思ってはいます 死…?!じゃねぇからなガチの奴だからな
最初は生理痛の重い奴くらいの痛みだったのですが、そもそも今日生理の日だっけ…?駄目だ前に生理ネタ呟いた日っていつだっけ…みたいな事を考えながら痛み止めを飲んで、このあたりから痛みが激化 ガチの死を感じました
後から気付いたんですが、この辺で三時間くらい身もだえて一人苦しんでいたらしいです 痛すぎて気付かなかった
言って私もそこそこ生理痛が酷い方なので、内臓への痛みには結構強い自負があったのですが、もうそんなもんじゃねぇこの世のすべてを呪うしかねぇという感じの痛みでした いや痛みについて語り出すとホント終わらないんでここサクッと行きますけど、マジで痛いんです
男性の方は金玉を思いっきり捻られてるみたいなふうに思っておいてください それで合ってるのか知らんけど とにかく命の危険をね感じる系の痛みです
いやこれはやばい奴や!と察知した私は、都合よく下宿から職場が近い母にヘルプコール 一瞬だけ自分で救急車を呼ぶべきかと迷ったんですが、何かもう、住所の説明とかすらしたくなかった
家庭の事情(我が家は救急車で運ばれる者がやたら多い)と前職の経験(介護職)のおかげで母の救急車対応は完璧でした 持つべきものは救急車慣れした母!
ちなみに母はこの時「この娘はまた腹を丸出しにして寝て下したとか生理痛拗らせたとかしているのかな」とか思っていたそうです ひでぇぞ母 娘泣いてんぞー!(痛くて)
そしていらっしゃる救急隊員様!色々検分、質問されたのち、ぼそっと聞かれたのが
「妊娠の可能性はある?」
オッケー!妙齢の女性の腹痛という時点である程度予想はしていた質問だベイベー!聞きやがれ!
「絶˝対˝無˝い゛です˝」
絶対無いです
そんなこんなで初めてのピーポーキメつつ、近くの総合病院に搬送されました
実を言うとここら辺から腹が痛すぎて時系列がアヤフヤなのですが、ここでも三回くらい「妊娠の可能性は?」「な˝い゛です˝」コンボをキメました ぷよぷよなら消えてますね
とりあえず的なノリで点滴をブッ込まれ(初体験)とにかく検査をしなけりゃ治療もできねぇと採血だのの基本的な検査を受けまして 便秘?違う 生理痛?違うっぽい 盲腸?違うな
分からねぇと よしCTだと(初体験)
痛みで朦朧としながら私は「いろいろなはじめてが奪われていく……」と思っていました
いや本当に、健康診断でも項目に入ってなかったんですよCT
はじめてのCT検査の感想はというと、「このまま丸いのに吸い込まれてタイムスリップとかしたら死ぬな」っていうのでした 多分頭がもうだめだったんだろうなと思います
異世界トリップ夢の新しいジャンル:CTトリップが頭の中を駆け巡る一方、体の方では普通のCTではまだ分からないとのことで造影剤も注入!
腕を抑えてくれていたおばさん看護師さんが「おなか熱くなるけど大丈夫やからね!漏らしてないからね!漏らしてないからね!」とやたらとお漏らし疑惑を払拭してくれるので、オッケー漏らしてないんだな!って思いながら注入されていると、いや本当に漏らしたのかと思いました
スゴイあの…漏らしたのかと思いました
ホモで良くある便利な媚薬って造影剤だったのでは…?
らめぇっ……体……熱………っ!!!!って身をくねらせる受けが脳裏に宿りました
あらかじめ言っておきますがこのレポは終始こんなことばっか言ってます
CT検査も終わり、ひとまず画像を診断しようという流れになり、処置室の隅っこで布団をかぶせられて放置されること十数分
奇跡はこの十数分の間に起きました
このままだと痛くて死ぬ 死ぬ 死ぬ……と思いながらも意識が遠のき、ふと目覚めた瞬間
アレ?っつって
痛くなくなってない?
傍でちょっとコレマジでやばそうだなとハラハラ見守っていたらしい母も、この時点では「急に顔色良くなってた」と後ほど証言しておりました
腹の中でUNION SQUARE GARDENのベースでも踊り狂ってんのかよという痛みがふっと引いて、十数分後、そこには元気に駆け回るジャックの姿が
いかにも心配そうに見守っていた母と視線が交差して、
「落ち着いた……?」
「お、おちついた……」
この時親子の間に走った感情は恐らく「ヤバイ」でした
いやだってこんだけ大騒動しておいて「あ、治りました!帰ります!」みたいなことになったらヤバイ なんか すごいヤバイ
どう考えても滅茶苦茶にはた迷惑なお騒がせ親子になってしまう
いや正確に言えばただのお騒がせ女なんですがわざわざ母に救急車を呼んでいただいた手前なんかそういう感じは否めない
様子を見にきてくださった看護師さんにも「あ、ちょっと落ち着いてきた?!」と聞かれ「ちょ、ちょっとだけ……」とかわざとらしく顔を顰めたりなどしてお茶を濁しつつ、いや待ってください割と元気になってきました、トイレ行きたいですと言う暇も無く、「婦人科に移動します!」と私を載せた担架(?)はガラガラーっと移動を始めたりなんてしちゃって
場の雰囲気はね救命救急24時なんですよ
「頑張ってくださいね!」「息はゆっくり!」って横にひっついてきてる看護師の人が声を掛けてくれているんですよ
多分あの、ナレーションとか入ってたと思うんですよ
土屋さんとかが「患者は22歳女性。突然の腹痛を訴え運び込まれた」とか言ってたと思うんですよ絶対
でも私の心は完全にドナドナ 荷馬車は行くよ
だってもうお腹痛くないもん
しかも最終運び込まれるのが婦人科って完全になんかあの、最後の手段じゃん?!
婦人科運び込まれて結局「排卵痛の酷いのですね~痛み止め出しときます~」って言われて終わるんでしょ?!
さっきまでは痛みでやばかったけど今は動揺で心拍数がヤバイ リアルタイムでバイタルチェックされてるのも相まってヤバイ
別の意味で青ざめつつ運び込まれた婦人科にて、
「じゃあエコーしますね」あ、これも初体験~
色んな先生が数名集まって私の腹の中のエコー動画を覗き込んで「コレが……」とか「いやこっちの影が……」「これは脂肪ですよね……?」ウオオすみません私の皮下脂肪が!邪魔で!申し訳ない!
ていうかなんの羞恥プレイだコレ?!
CTの時もこういうことされてたのか?!私の知らない所で?!怖!!興奮する!
「これは膀胱だね~膨らんじゃってるな~」「導尿します?」「邪魔だし出しちゃおうか」
やたらと緩い婦人科の先生(SFのハカセっぽい髪型)の指示でわっと動き出す看護師さん達!
えっ待って導尿ってまさか待ってトイレ行ける!私トイレいけるよ!今行ける!だって元気だから!元気だから!
そんな心の叫びも甲斐なく看護師さん方の滅茶苦茶迅速な支度にて!なにやら鋭いようなものが股間に!そしてぶっかけられる消毒液!「ちょっとシカッとするよ~」シカッとな?!
脳裏に駆け巡るのはお気に入りの幼女尿道責め同人誌の数々でした
ごめんな幼女、そして数々のホモの受け達よ……君たちの思いも知らずにあんなに軽率に尿道を責めてしまって……
尿道って、痛いね……そしてなんだか悲しいね……まるで四月のお別れの時期みたい……
もうね本当にこんなネタばかりで申し訳なくなってきたんですがまだまだこんなの序の口なので覚悟してください
ていうかマジで長いな…ネタが多すぎて話が全くまとまらない……無理……
清流のごとき水音(美しい表現)を下肢から聞きつつ、「一杯出ますね」「痛くてトイレ行けなかったんでしょ~そりゃ無理だよ」「全部出しちゃいます?」「出しちゃおう」私の尿の処遇が私抜きで決められていく!
「はい、一杯出たね~!抜くときまたシカッとするよ~!」アイエエ!
強制放尿公開ショーの後は本格的なエコー検査が行われまして、どうやら診断結果が出たようでした
一方私はと言いますともう尿道の事で頭が一杯な訳でして、はじめて…奪われちゃった…みたいな顔してたんですけど、
「あのー卵巣がね、右と左、両方かな。腫れてるのね」
「はぁ(尿道……)」
「でグリーってなってるのね」
「はぁ(尿道…………)」
「これ治すためにはね、まぁお腹を切るしかないのよ」
「はぁ、……は? マジですか?」
「マジやで」
マジでした
いやいやいやいやそんなグリーとかそんな軽いノリで腹を
腹を?!
現代医療だぜ?!
盲腸だって薬で散らせる時代だぜ?!?!
さらに言うなら今お腹そんな痛くないぜ?!?!?!?!?!
マジかよ???!???!!?!?!?!?!?!!!!????
そんな私の心境を知ってか知らずか診療室に母が呼び出されまして(さすがに診察中は外に出されていた母)
「どうせ排卵痛の酷い奴とかやろ」とか思いながらホイホイ入ってきたらしい彼女にも病状の説明などが(私より幾分詳しく画像なども交えて)されまして
「……という病気なんですが。治すにはとりあえずですね、腹腔鏡手術という方法がありまして」
「…………マッ」
血を感じた瞬間でした
「(ああーーッ!!母も『マジでか』って言おうとしてるゥーーーッ!!!!!!)」
「それは、今からすぐにっていうことですか?」
「(耐えたーーー!!!!!!!母ー!!!!!亀の甲より歳の甲ーーーっ!!!!!!)」
完全に変なテンションになってましたよね、今思うとね
やんぬるかな 腹を切れと言われれば誰だって良く分からないテンションになります
多分切腹言われた侍もこんな気持ちだったよ マジで候――?!?!?!ってなってたよ
でなんやかんやこの総合病院では婦人科医の数が足りないとかなんとかで別の病院に移されることになりました
その移動も救急車で! ほんまかよ 割と元気だよ
看護師さん(私の尿道処女を奪いし者)や看護師さん(お漏らし疑惑払拭の方)が「頑張ってね」「ごめんね、うちで治してあげられなくて…!」と力強く手を握って励ましてくれる中、若干のマジで?感を漂わせた私を載せた救急車は向かいました、県内のちょっと大きめの総合病院へ
ちなみに母は会計の最中で出発しかけた救急車を見て慌てて「お会計してください!」「後で払いにきます!」「お会計!」「救急車においていかれる!」と会計の方と追いかけっこをしていたそうです 私の知らない所でそんな面白い事するのやめて
ていうか一日に二回も救急車乗ったことある人います?
ファーストピーポー直後にセカンドピーポーキメてやってきた病院では迅速に婦人科に通されました
ちなみにセカンドピーポーの救急車の中では初めの病院の救急の方(?)が付き添ってくれたんですが、正直言ってその時点ではめっちゃ普通の体調だったので、だんだんその方も「あ、こいついま元気だな」と察してくださり、察してくださった上に次の病院着くまで暇やろと思ったらしく「今何年生?」とか「何かスポーツやってる?」とかカジュアルな話題を振ってくださり居酒屋かなんかか?って思いました ピーポー居酒屋(アルコール消毒液の香り)
これはどちらの病院でも思った事ですが、看護師等の方々はみなさん誰も彼も相手を気遣う事、人の痛みに寄り添う事がとても自然に、嫌味でなく最大限に出来る方たちばかりで、医療従事者の方ってすごいなぁとしみじみ感じました ピーポー居酒屋は割と意味不明でしたが、あれも無言の空間を作るまいという気遣いなのだということはわかります わかるってば 元気なのにピーポー音に包まれてる気まずさったら無かったもん
それはともかくとして次の病院ですね
次の病院ではババーンと通されました!分娩室!!
(続きます)
回る寿司を食べに行きます