短歌集めたの 「座りたい」
出勤中に電車で座れなかった時に書いてる短歌めいたものがいっぱい溜まったので並べました。
Twitterでも公開してるやつです。(たまに校正してるのでちょっと違います)
「座りたい」
燃えたって毎日炭を食べたって良いよあなたが健やかならば
草食の生き物を焼く火の前で焼かれた祖母の話が続く
炊飯器、炊飯器鳴き声のよう三十八度のけもの布団で
きょう食べるものの感情のことは考えないって約束でした
全員が辛い辛いである日ゆえ眠い眠いとツイートしている
一日にニリットルほど水めいたなにがしかを飲みそして出してる
へらへらと笑ってライター押し付ける誠意の顔は諭吉と似てる
メダカ肉食べたやおびくにのきもち人魚ちっちゃめっちゃびびるわ
レンガ、椅子、液晶、パイプ、おおきめの石で殴れば死ぬ系のやつ
もうまともじゃないやつらの列をなす列をなす後ろ位置に着く列
誰のものでもない足跡たどってる「人間」は人のあいだと書く
行儀良い透明人間の足跡両手を伸ばして当たらない距離
先っちょのつながってないアダプタを探している時めちゃくちゃ虚しい
こんなもんどうすりゃいいと五百回くらい言ってる剝けた唇
「間違った分にはそれでかまいません」ここは寒くてきれいじゃない国
殺す許可はあるのに眠らせる許可はない麻酔銃は獣医に渡し
いらないと言われたのならまぁいくて投げ捨てられたティッシュと憩う
くだけてもなお昨日の雨で散った桜の花弁は汚く見えた
誰も傷つけないためにあらかじめ傷つけておいた鶏肉を焼く
誰も傷つけないために作られたみたいなナイフだお前のそれは
もしも霊媒師に祓われたとしてもあたしのことは忘れないでね
不老不死とかかんたんに言うな三十年後には死んでるくせに
(「明日から来なくていいよ」と言われたらなんやかんやでばんざいするな…)
肩のとこガンダムみたいな服を着る女になるの来世はぜったい
ていねいな暮らしだなんてしたくないペヤングに足つっこんで起きる
戦って負ける覚悟がないためにスキップボタンを叩く何度も
花束みたいな葬式だったねあんたあのラメのくつ捨てちゃったの?
いぬ、風を浴びるな、ここは人は来ず車も来ないあぜ道だが、いぬ
外郎売の途中のさぐわらぐわらとかいうあたりやけくそで好き
綿、化繊、プラスチック(みな百均)そしてそんなんで暮らすものたち
好きですか愛してますか良かですね可愛いおもちゃはゲロを吐かない
マラカスの代わりに唐辛子を振る。握りつぶさぬように振る、振る。
じいちゃんのベッド脇から藁人形でてきたんだけど写真見てみる?
ばあちゃんは死んで初めてマニキュアを塗ったねもっと赤とか合うのに
なんでそこゴシック体にすんのかな読まれる自覚あんのかなまじで
僕たちと一緒に過ごすこたないぜ鉄は水の中でも錆びるぜ
どうしてもたった二十の年月じゃ呑まれぬものがあるどうしても
生きる皮膚あなたの生きる皮膚塗ったリップのぬめりレジンの爪紅
生年の後ろについたなみなみがまだ生きていた君を語って
「Wikipediaまだ生きたままになってるね」「まぁしばらくはそのままじゃない?」
いやそれは病気ですよとせんせいが笑って言うので笑って返す
腰だめにコーヒー牛乳もつ男昨夜のおれを撃ち抜くために
嫌いとか好きがまとまり道端のゴミステーションで月曜の朝
雨傘とくまの模様のシャツを着てオフィスレディをやっております
七万のバッグによく似た百円のバケツによく似た形のベッド
つぶつぶが光って地べたに落ちていてしゃがんで眺めて「いくらだ」と言う
回る寿司を食べに行きます