ハラキリレポ 3


続きです


 ババーン!手術室!


 正直若干昨日通された分娩室にまた通されたらどうしようみたいな気持ちがほんのりあったので、なんとなく安心しました いや分娩室はねぇだろとは思うんですけど若干ね?
 予想以上に広いなっていうのが感想でした あとすっげ寒い あの先生方みなさんは結構服着てらっしゃるんですけどこっち概ね全裸なんでね寒い
 寒いですねって言ったら「寝たら分からないから大丈夫よー!」って言われました せやな
 そして何か硬い板みたいなガラガラーってベッドから移動するのかな…ってのそっと起き上がりかけたところで「自動で移るから大丈夫よ!」と押しとどめられまして、何か空港の荷物みたいにベルトコンベアみたいな機構でウイーンってベッド移されました なんですかねあの機構 めっちゃ面白くて一人で異常にウケてしまったんですけど普通に考えて滅茶苦茶面白くないですか?ほぼ裸の女が真っ直ぐ両手揃えて上向いてベルトコンベアでウイーンってベッドに移されるの……
 あとお医者さんたちは異常に受ける患者をちゃんと待ってから術式の説明などに入ってくれました やさしさ
 でまぁドラマみたいな感じで(もうちょっとアットホーム感はありましたけど)今から腹腔鏡下での卵巣嚢腫核出手術しま~す的なアレがありまして 麻酔しま~すは~いみたいな感じで
 後はもうパパーっと麻酔を受けてパパーっと眠りました ホント入眠の記憶が無いです 麻酔って凄いですね
 ちなみに、卵巣嚢腫の腹腔鏡手術は基本的に全身麻酔で、ペインコントロールとして副次的に硬膜外注射による局部麻酔(?)を行うのが割とスタンダードっぽい感じのようなそうでもないような とりあえず術前にはそんな感じの説明を戴いてたようなそうでもないような(杉下右京と戦っててちゃんと聞いてない)なんですが、結果的に言うと麻酔医の先生のどういう判断か、私はこの硬膜外注射をせずに普通の全身麻酔で手術を受けてたらしいです
 これが後々の年度末大感謝祭セール(疼痛)につながるのですがこの時の私は知る由も無く!
 かくして執刀!ハラキリ!

 後ほど聞いたところによると、私の腹に入っていたのは大体ソフトボール大の嚢腫、およびそれに付随した五百ミリリットル相当の水腫だったそうです
 一般的に、手術による切除が提案されはじめるのが七センチを超える肥大が確認された場合だそうですので、そこから考えるとまぁ、何だ、育ったな~~~!!!って感じですね それでも夜が優しいのは見て見ぬふりしてくれるからだな~~~~!!!!!
 手術前、まだ二十代前半である事なども加味し、腹腔鏡手術による核出(腫瘍部分だけ切り取る)という手法で出来る限り卵巣の組織を残して術後の妊孕性を確保するという旨が伝えられていました
 が、いざ腹を開いてみると卵巣と嚢腫の癒着が激しく、嚢腫自体の肥大も各種検査で推定していた以上だったとのことで(「めっちゃくっついてたんですよ~」言われました)
また、同様に肥大を起こしているとみられていた右卵巣が平常であり、手を加える必要が無さそうだという判断が下された為、手術は核出から左卵巣、および卵管の摘出へと切り替えられました
 ついでに、ちょっと既存の腹腔鏡の穴からは出ないなコレ!っつって割とザックリ腹を切られました 三センチくらい(※退院後に定規で測ったら五センチでした 長さの感覚が適当すぎ)
 そうして切り取られた私のふぐり(概念)と卵管は親族控室で明日の晩御飯の話をしていた母と祖母の元に!


母談「先生が『取れましたよ~』言うてなんかトレー持ってきた瞬間嫌な予感がしたんやけど、体面上ありがとうございます!みたいな感じで駆けよらんわけにはいかんくて、一応あの…ガーゼ?みたいなの掛けてあるんやけど先生雑いねん!なんか毛がさぁ!はみ毛がさぁ!ガーゼから出てて!まぁ結局ピラー捲るんやけどなんかもう毛がワシャァ…って何か白いのがコロコロッ…ってめっちゃグロかった……夢に見た……とんだどろろやった……」
私談「え……なんかごめんね私の腹から出でしものがね……私も見たかった……」
 見せてもらえませんでした


 そんな感じで多少イレギュラーはあったものの順調に手術は進み、一方私の脳内はと言いますとオジマンディアスと学園生活を送る夢など見ておりました 校舎がすごい光輝の大複合神殿をフューチャリングしていた
 いやあのね
 麻酔の間に夢なんて見ねぇだろ!って言われると思うんですけどね 見たんですって
 体質的にあまり麻酔の効きがよろしくなかったのかなんなのか定かではないのですが
 流石に真っ最中に目覚めてギャー!!! なんてことは無いものの、先述した通り、目覚める直前にレム睡眠するくらいには何か、あの、浅かったみたいなところがあって
 息できねぇ!っつって目をこじ開けたらまだ手術室だった時はさすがに「マジか……」って思いました
 いや違うんですよ 私もね多少なりともいくつか全身麻酔の体験記みたいなのを読んだことがありまして
 大体「途中で目覚めたらどうしよう……って思ったけど起きたらすでに病室でした!」っていうのがテンプレと化してるじゃないですかアレ!
 だから私もどうせそんなやろうなと!思っていたんですよ!
 んでねむてぇなって思いながら目を開けたらまだ全然手術室でやんの!!!!管がね喉に入ってんの ギエエーーーー?!ってなりましたよね ギエエーーーーーー??!!!聞いてない展開!!!!!
 体は動かないのに喉には管ガッツリ入ってるのに息は出来ないのに死なないというゾンビにやどった魂体験会みたいなことをしてきました 臨終体験の一歩前的な感じでした 今思うと普通に麻酔で混濁して見た夢なんじゃないかなっていやでも普通にその直後に口から管ズッボー抜かれて「うわ痰めっちゃ出たよ!風邪気味?」って言われたからなぁ……風邪気味ですぅ……


 でまたガララララーーーと個室に戻されまして 駆けつけた祖母と母とが見守る中、さすがにあのドラマとかで良くあるピッピッピッみたいなのは無かったんですが(めちゃくちゃ意識もあったし)何かワッサーと機械に繋がれまして、酸素マスクとかもつけられまして、私はと言いますと痛みのあまり世界を呪っておりました
 今日の(鎮痛剤)わんこ再び!!!!!!!!!
 おかしいな……何かの本で「近年の術後のペインコントロールの技術は向上しており、術後痛を味わう患者はほとんどいない」って読んだんだけどな…… などとその当時に思うはずも無く!!キレて酸素マスクをブン投げること数回!!!!!!(看護師さんその節は本当にご迷惑をおかけしました)
 あの……こういう極限状態では素が出ると言いますよね……お恥ずかしい話ですがどうもわたくし許容を超えた痛みに対しては「怒り」という形でストレスを発散しがちのようでして……普段はとっても大人しくて穏やかな、路傍で咲く名も無い花みたいな存在なんですけどね……?(?)
「いてぇ!ふざけんな!じゃまくせぇ!」的な事を滅茶苦茶喚きまくっていたそうで(あんまり覚えていない)
 いい年こいた孫娘が癇癪を起す姿を見た祖母が若干引きつつ早々に病室を去ったそうで(あんまり覚えていない)
 手術の結果などについてお話しにきてくれた主治医の先生に対しても人殺しみたいな顔で「あの……それよりもお腹痛いんで……鎮痛剤追加してもらっていいですか……」とか言ったそうで(これは結構覚えてる)
 とにかくはちゃめちゃに痛かったです
 後、痛いだけならまだしもエコノミークラス症候群予防の何か加圧のガンダムの機械みたいなやつとか尿道カテーテルなどがコンニチハ
 もうね、祭りです 不快のお祭り騒ぎな訳です 九九なら九の段な訳です あっここ昨日の進研ゼミでやったところだ! ここも、ここも分かるぞ!ってな具合でして ジャンプならね私が痛み相手に苦戦している所にザッと現れる黒い影!お前は…!「おいおい、こんな奴に苦戦してるんじゃねぇよ」「お前を倒すのはオレ、だろ?」尿意!尿道の痛み!「私のことも忘れてもらっちゃ困るんだよなぁ」この声は、よ、腰痛!そんな感じ なんのオールスター大感謝祭なんだよ 不完全燃焼かよ
 仕事終わりに合流した父と母が帰った後一人残された病室にて!ギター!私!パーカッション!静寂の中めっちゃプシュプシュ言う足のなんか加圧の奴!ハイハット!血中酸素濃度?心拍数的な何か?が落ちるとアラームで警告してくれる機械!(やたらと鳴りまくる)みたいな感じでちょっとしたジャムセッションがありまして とても賑やかでした 
世界中を驚かせてしまう夜になるかと思いましたね もうねI feel 上々連鎖になってリフレクト(アラーム音が)しまくりました
腹の中のUNION SQUARE GARDENのベースもここが俺のステージかと、ここがあの女のハウスねいう顔で所狭しとね のびのびとした演奏を見せてくれましてね セッションリーダーとしてはもっと鎮痛剤のビートに期待してたんですが、彼はちょっと委縮しちゃったところがありましたよね
 ちなみに私に数回叩きつけられた酸素マスクは術後五時間、足のプシュプシュパーカッションは翌日の朝まで、カテーテルも同様に翌日朝まで装着されていました 水分も翌日朝まで禁止されててガチに地獄!
 そんなデトロイトメタルシティを超え、夜が明けた頃には術後痛も収まっておりまして、喉元過ぎればなんとやらというのを切に感じている次第でございます

 ちなみに術後初めての食事はみなさんお馴染み重湯とスープ!
 これに関してはTwitterをご覧いただければどれくらいの絶望だったか見て取れると思いますが仕方ないよね
 食事に関しては重湯の次は五分がゆ、全粥、通常の白米と割とトントンで通常の食事になり、美味しいか美味しくないかよりも食事が出来ることに感動したりなどしておりました



 そろそろ特に書くことも無くなってきたのでここら辺で〆ておきますが、冒頭にも書きました通り、卵巣嚢腫という病気は二十代から三十代の女性に最も多く、そうでなくとも女性の機能があれば、もしくは閉経後であっても発症のリスクのある病気です
 今回の私の病気に限らず、元々女性機能っていうのは「子供を作る仕組み」な訳で、女性というのは他人の素を腹に収めて生まれてきているみたいなものでして、割と結構バグりやすい感じだったりします まぁねお腹の中に数千とか人間の素があったらそらガチャでSSR出るみたいなノリでバグるものもあらぁなという感じでそれはいいのですが、一回バグると後々の人生設計に支障が出たりだとか、そうでなくても今回の私のようにお腹の中でSR★4サーヴァントUNION SQUARE GARDENのベースピックアップガチャ!みたいなことになったりいたしますので、女性の皆さんはこまめな検診を忘れずにね!
 ってそういうこと最後に書いておくとなんか良い感じの啓発文っぽくなるかなと思いました!

 最後にはなりましたが、UNION SQUARE GARDENのベースの人本当すみません

回る寿司を食べに行きます