無菌性髄膜炎 Up To Date [髄液検査の特徴は省略]


病歴

細菌性髄膜炎と無菌性髄膜炎

●細菌性髄膜炎は通常"quite ill"で発症後すぐに来院
●無菌性髄膜炎は数日の経過の発熱、頭痛、項部硬直、嘔気、羞明で来院

脳炎と無菌性髄膜炎

●無菌性髄膜炎は"無気力"だが脳機能は正常
●脳炎の患者は意識障害を呈する
・24時間以上、ほかの原因で説明できない意識障害が持続
+下記の6項目の基準のうち2(possible)または3以上(probable or confirmed)
1) fever>38℃ 2) もともとの痙攣をおこす疾患に起因しない全般性or部分発作 3) 新たな神経学的巣所見の出現  4) 髄液中WBC>5/mcl 5) 新規または急性の神経画像異常所見 6) 脳炎に矛盾しない脳波

*完全に区別できず、髄膜炎と脳炎がoverlapすることもある

手がかりとなりうる問診

・海外渡航歴、旅行歴 [結核の流行地]、性交渉歴 [HSV-2, HIV, 梅毒など]
・季節
・薬剤 [NSAIDs, ST合剤など]

身体所見

●項部硬直、Kernig sign、Brudzinski sign→抗生剤前の時代に確立されたもの
●細菌性髄膜炎
●特定の原因を示唆する所見
・皮疹 A diffuse maculopapular exanthem エンテロウイルス、ウエストナイルウイルス、HIV seroconversion、梅毒
・耳下腺炎 (特にワクチン接種歴ない人の)ムンプス
・デルマトームに沿った水疱 VZV *皮疹がなくても検査はすべき
・有痛性陰部潰瘍 HSV-2
・口腔咽頭鵞口瘡と頸部リンパ節腫脹 primary HIV infection
・非対称性弛緩性麻痺 ウエストナイルウイルスorエンテロウイルスD68/71

治療

抗ウイルス薬による治療

●HSVまたはVZV脳炎の懸念がある場合はアシクロビルによる経験的治療が開始されるべき
●デルマトームに沿った水疱があるなど、臨床的にHSVorVZVが原因と示唆される場合にも経験的治療はreasonable

原因に基づく治療

●原因が特定されて治療に反応する場合(例:梅毒)、原因に基づく治療を行う

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