見出し画像

天才を描く天才

私は読書が好きで、活字もよく読みますが同じくらい漫画も好きで良く読みます。

何でも読むというよりは好みはスポーツ系のものに偏っています。

その中でも曽田正人という漫画家の作品は本当に大好きで愛読しています。

映像化されている作品も多くあり、シャカリキやめ組の大吾、capeta、昴など読んだことがなくても聞いたことがあるという名前もあるかもしれません。

そんな曽田さんの漫画の特徴は狂気に満ちた天才が主人公であるということです。常人にはなかなか理解されない天才の苦悩を描いています。

シャカリキというサイクルロードレースの伝説的な作品(日本を代表するサイクルロードレーサーの別府史之選手も幼少期に愛読していたらしい)は自転車で坂を誰よりも早く登ることに全てを懸ける高校生が主人公です。

主人公の野々村輝は幼少期から地元の坂を自転車で登ることに楽しみを見出し、高校は地元を離れて自転車競技の名門に進学します。そして高校ではその坂への執念に拍車がかかり、合宿中に大事故にあい重傷を負うものの、その間に驚異の肉体改造に成功します。

そして日本最高峰のワンデーレースであるツールドおきなわで高校生ながら優勝。しかしもっとすごい坂をもっとすごい奴らと登りたいという思いから高校を退学し、単身ヨーロッパに乗り込むところで物語は終わります。

本当に物語の10000分の1くらいしか書いていませんがとんでもない主人公ですよね。誰よりも早く自転車で「坂を」登りたい、そのためなら何だってするという狂気にも似た覚悟、これが天才なのだなと思わされます。


また、capetaという作品は四輪のモータースポーツがテーマの作品です。車に憧れる主人公の平勝平太は、カートに乗ってみたいけど金銭的な負担を心配して父に言い出せません。それを知った父が職場の備品のエンジンを使って作った手作りのカートに乗ることから、物語は展開していきます。

モータースポーツでステップアップしていくにはとんでもないお金がかかるということ、カートからフォーミュラにステップアップしていく過程などかなりリアルに描かれていて、現実離れして感情移入できないなんてことはありません。

またドライビングテクニックやタイヤマネジメントについてなどもしっかり細かく描写されています。

そして主人公は、普段はとても周りに気を遣える好青年なのですか車に乗ると頭のネジがぶっ飛んでしまい、車を速く走らせることだけに集中します。

予選レース中に、ライバルで尊敬するドライバーの車が目の前で大クラッシュを起こすのですが、全く動揺せずそのラップ途中まで最高の走りをみせます。途中で予選が打ち切られてピットにもどってからその様子に改めて気付き、大クラッシュを目の前にしても全く動揺しなかった自分にショックを受けます。そんな自分に苦悩したり、それでも上を目指していく主人公に胸打たれる素晴らしい作品です。


曽田正人さんの作品では、天才がただ活躍するだけではなく、天才であるがゆえの苦悩、そしてそれを乗り越える過程を丁寧に描いています。私は心身ともに疲れたときは、曽田正人さんの作品を読み返すことで気合を入れなおすことが出来ています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?