見出し画像

「ヨンデミー先生」をデザインする

📝DesignshipUで話した内容をまとめました。

子どもが本好きになるオンライン習い事「ヨンデミー」のデザイナーの諸井です。

ヨンデミーは機能としては粗く言えば3つあります。

  • AIによって子どもの好みとレベルに合わせた選書をする

  • 毎日レッスンでチャットやクイズ

  • 感想を書いたり、レッスンをしたりすると報酬がもらえる

このいずれにも絡んでくるのがAI司書キャラクター「ヨンデミー先生」です。今回はこのキャラクターのデザインについて話そうと思うんですが、キャラクターのビジュアルデザインの話ではありません。(実はキャラクターのビジュアルはプロのグラフィックデザイナーの方にお願いしました。自分が頑張るよりその方が効果が高いですよね)

今回話したいのは「ヨンデミー先生とユーザーの関係性」をどうデザインするか、「ヨンデミー先生とは、子どもたちにとって何であって欲しいか」についてです。


「読書を習う」とは?

「ヨンデミー先生が何であるか」は、ヨンデミーが読書を習うオンライン習い事だということに深く関連します。
読書を習うというのは聞き馴染みがないかもしれません。このコンセプトはメンバーそれぞれの理念や、仮説検証(どうやったら子どもが本を読むようになるかを家庭教師形式でユーザーリサーチしました)の結果、二転三転したのちに、生まれたものです。

一昨年いとうあささんの『記憶する体』という本を読みました。この本は、障害をもった方が自分の身体とどう付き合っているかというのを1人1人にインタビューしてまとめた本です。

「身体と付き合う」という言い方にもある通り、身体というのは思い通りになるところだけでなく、思い通りにならないところがあり、それはほぼ他人であるというその考え方に非常に驚きました。

ヨンデミーのアプローチは、この「思い通りに読んでくれない身体を、読書する状態に持っていく」というものなんじゃないかと、自分は解釈しています。
じゃあ「身体を読書に持っていく」ことをどのように実現するのか?
それが「習い事」です。

習い事というのはスキルを与えるだけではないのです。ピアノなら、発表会などマイルストーン、教室という居場所、先生という憧れの存在、一緒に頑張る友達など……
読書を習うというのは、読書のスキルを得ることではなく、周囲の環境を整えることで、子どもが自然と読書する状態に身体を持っていくことです。

読書における環境とは何か?

読書というのは、本を読むことだけではありません。
誰かに本を紹介してもらったり、本の感想を言い合ったり。
こういう読書にまつわる楽しい体験全てが、読書の動機づけになります。

これは僕の実体験からもしっくりきています。
実は僕は小中高とほとんど本を読まなかったのですが、Yondemyには本好きな社員やインターン生が多くいて、自分たちで読書会をやったり、本の感想を呼吸のようにつぶやいているような人たちがいます。これに感化されたのか、僕も昔からは考えられないほど本が好きになりました。

この前本棚を整理した時の写真(デザインの本が多めです)

しかし、実情として、ふつう子どもたちの身の回りに本好きな大人というのはそんなにいません。周りの大人はみんな本がそこまで好きではないのです。ヨンデミーは、子どもたちの読書の周囲に介入することで、誰でも読書の周囲が楽しくなるようにします。

周りの体験が貧弱だと、読書が動機づけされない

習い事の先生としてのヨンデミー先生

ヨンデミー先生は、ここで習い事の先生としての役割を果たします。
ヨンデミー先生は、子どもの読書家としての憧れであり、感想を聞いてくれるあたたかい先生であり、「この人のおすすめなら面白そう」という信頼できる大人になります。
ヨンデミー先生は、子どもの読書体験全体をガラリと変えて、身体が読書へ向かうようにしています。

習い事の先生としての、ヨンデミー先生

具体的にどうワークしているかというと、例えばチャットbotで話すことでヨンデミー先生の信頼度が上がり、選書を読むようになり、習慣化する、さらに信頼感が上がり……というサイクルを作ることに成功しています。

実際お子さんが「お母さんやお父さんのおすすめは読まないけど、ヨンデミー先生のおすすめは読みたい、ヨンデミー先生のために読みたい」と言っているというのをよく保護者の方から耳にしますし、口コミにも見られます。

こういった成果を見ると、ヨンデミー先生はリアルの身体はないキャラクターに過ぎず、さらにいえば現状のチャットbotはChatGPTライクに動いてるのではなく定型的な返事しかできないんですが、しっかり「習い事の先生」としての役割を果たせているなと感じています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?