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ホントの“おぢばがえり”

2023年盛夏。
いやぁ〜夏い、じゃない暑いッ

真夏のお日様が中天のお昼、おぢばに到着。神殿に向かい、南礼拝場の焼けた石階段を昇殿。靴を脱ぐとホッとする。日に焼けて温かい木階段を上がる。濡れ縁に差し掛かると、少しずつ涼しさを感じ、またホッとする。
涼しく感じる殿内。
どこで参拝しようか。
額に汗を滲ませながらおつとめをなさる方。
額ずく背中は汗でびっしょりなTシャツの方。
柱に凭れかかり甘露台を見つめる方。
ママの手振りを真似ておつとめをする小さな女の子。
背筋をぴーんと張り端正な手つきで勤める方。
結界内ではうつろうつろな奉仕の先生。
昼下がりの神殿は、いつもと変わらず、みなさん思い思いに親神様と相対している。

「無事におぢばに帰り着きました。ありがとうございます。」
親神様と私自身の心が一本の糸で繋がる感覚を思い描きながら一心におつとめをさせて頂く。

礼拝場から甘露台を見つめた先には、笑顔のおやさまがお待ちくださっている。
「おやさま、今からそちらに参ります」

艶のある、光る回廊を東廻りに。
無意識に時計台の時刻を確認。
首にタオルをかけ、一心不乱に回廊を磨く方。
窓ガラスを拭く方。
おじいちゃんと手を繋ぎニコニコと歩く小さなヨチヨチ歩きの子。
昼食に満足顔の教服の先生。

と、あ、Y澤S造クンだ。
久々の再会に握手。お互いに近況等を立ち話。
神殿でも部署でも、彼の歩く姿はやや内股でいつも急ぎ足だ。
この時も、私との話しよりも親神様との会話が最優先なのだ。だから急ぎ足。
「またねー」
彼の背中は東礼拝場にみるみる吸い寄せられていった。

おやさまはまだ昼食中かなぁ。
「おやさま、ただいま帰りました」
おやさまに近況報告。そして、いろんな気持ちを吐露する。
涼しいなぁ。だけど、あったかいなぁ。
またまたホッとする。

そして、みたまさま。
歴代様、中山家様、山中様、御本席様、上田様。おやしきで勤められた方々様。先輩諸先生様。
「いつもお見守りをありがとうございます」

よし、参拝終わりッ。ホッ。
回廊を西廻りに。
曲がり角で真座の屋根を眺める。
一間四方にくり抜かれた雨打たしの縁は、夏の日に照らされてキラキラだ。
回廊の勾配を嬉々として走る男の子、それを笑顔で諌める親。
ふらふらと回廊拭き一周ゴールが間近な方。
ふきん箱の横で汗をぬぐう方。
いつもありがとう、立哨する方。
温かい回廊の手すり。

「親神様、また来ます」立礼。
と、懐かしい顔に遭遇。
関東在のベテラン教会長さん。真っ黒に日焼けしたシワシワの男前顔には大粒の汗。
色褪せた昔の薄黄色いおぢT。年季なのか、汗で伸びたのか、丸首襟がV首っぽい。
「〇〇先生!お久しぶりです!藤田です!」
「ん?おおっ!元気かっ!」
「はい!先生、ちっとも変わらずお元気そうで!お会いできて嬉しいです!教養掛ですか?」
「そうなんだよ。1ヶ月ね。詰所にずっと座ってたらなんだか落ち着かんな。せっかく天理にいるんだから空き時間には“おぢばがえり”しないとな!」
と言いながらも足はもう木階段を降りはじめている。なんでみんな急ぎ足なんだろうね。
「藤田くんは若くていいなぁ!若い若い。ガンバレよっ!」ともう靴を履いている。ジャッ、ジャッ、ジャッ、と砂利を踏む先生の背中はみるみる詰所の方向へと消えていった。

歩きながら、おぢT先生がさっき言った言葉を反芻する。

「そうなんだよ。1ヶ月ね。詰所にずっと座ってたらなんだか落ち着かんな。せっかく天理にいるんだから空き時間には“おぢばがえり”しないとな!」

詰所がえり
神具屋がえり
天スタがえり😆
同窓会がえり
・・・がえり

天理市に来るのはいろいろと動機があるが、私たち天理教信仰者にとって、神殿に身を運び、親神様・おやさま・みたまさまにご挨拶しないと“おぢばがえり”にはならない。それは、単に天理市に来ただけよ、と、おぢT先生は言いたかったのだろうか。

天理市滞在中はなおさら、朝夕だけではなく、足繁く身を運ばないとな。

別のとある夜。とある出先から。
帰路におぢばがある。
腹減ったー、そうだ、天スタ食べて帰ろう♬
さらに帰路。「あ、参拝してないやん」
猛省。。。ダメだこりゃ。

夏の昼下がりに、一つ、大切な事を教えてもらった気持ちになった。
仍て件の如し。

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