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プロ修斗広島大会 闘裸男26 & GIG03 その2

プロ修斗広島大会第一部「闘裸男GIG03」が終了後、お客さんは、いったん退出。入れ替え制で、第二部「闘裸男26」へ。

今回の闘裸男26の最大の話題は、やはり佐々木信治選手の修斗復活だろう。
佐々木選手といえば、修斗環太平洋王座を獲得。

ササロックの愛称、色気のある入場シーン、極めの強いファイトスタイル、時に激しく打ち合うなど、ファンに愛された選手。
修斗を離れてからは、他団体、特に韓国のROAD FCで活躍し、海外勢を相手に激しい戦いを繰り広げた。

そして、2018年のバオ・インカン戦。あれは、衝撃だった。
敗戦どうこうより、あまりにも重すぎる怪我。wikiから引用するが、「右手中手骨、眼窩底、上顎、頬、鼻と10箇所以上を骨折。治療にあたり、4度の全身麻酔での手術を行った。」のだ。

本当に正直に言うと、もうダメだと思った。(申し訳ないです)
ネットで検索すれば、当時のレントゲン写真も出てくるが、あれを見て、佐々木選手が、再び選手として復帰できるとは、自分にはとうてい思えなかった。むしろ、日常生活も大丈夫なのかと心配するレベルだったし、絶句した。
かくも、格闘技とは恐ろしい競技なのだと痛感させられた試合。

その後、時間がたつにつれ、セコンドにつく佐々木選手をお見掛けすることも多くなり、順調に回復してきてよかったなあと思ったが、それでも、まだ選手として復帰するとは想像していなかった。失礼ながら、年齢的にもベテランである。再び大きな怪我をしたらどうするのか。それを思えば、戦わないことを選択しても、それは自然なことに思えた。

だが、今年2月、なんと佐々木選手はGLADIATORで復帰する。しかも、相手は植田豊選手。超つえーじゃん…。しかも、ライト級暫定王座決定戦。
凄い!という思いと、大丈夫なの?という思いが交錯した。

だが、ファンの思いをよそに、ササロック勝利!ベルト獲得!
植田選手は強くて、全く楽な相手ではないし、長いブランク明けの相手としてはハードすぎると思ったが、佐々木選手、マジで凄かった。

そして、ようやく闘裸男の話にたどり着くが、その佐々木選手が修斗に、闘裸男に戻ってくると発表された。
これは嬉しい。

最後の闘裸男チルドレン。佐々木選手のキャリアの序盤を形作った闘裸男。
その闘裸男が広島に戻ってくるのも3年ぶり。佐々木選手が修斗に戻ってくるのが7年11カ月年ぶり。そして、闘裸男に戻ってくるのは、実に11年8カ月ぶり。こんなの、見届けたいに決まっている。

はい、チケット売り切れました。ですよね。
みんな見たいもの。

本当は、第一部同様に最前列が欲しかったが、手に入らず。それでも、SRSが買えたからラッキーだった。

そんな佐々木選手の物語を見届けようと、万感の思いを込めて、会場へ。

客席は第一部と同じだが、とにかく、お客さんの集まりが早い!開場してすぐの入場だったが、もう、こんなに入ってるのかとびっくりした。

本当に、観客の見たいという気持ちが行動に現れたんだろう。これができるのが、佐々木選手の魅力なんだなと感じた。

大会がスタート。まずは全選手入場。

ここで、最初の衝撃が起きる。宝珠山選手による選手代表あいさつが、あまりに立派すぎて、驚いた。アナウンサーのごとく堂々と、流麗に、文句のつけようのない内容のご挨拶。修斗史上最高かもしれない。

そして、本戦開始。その宝珠山選手がさっそく登場。

えぐいって…。
宝珠山選手がパウンドを落とすとき、女子の試合では聞いたことのないような凄まじい重量感の音が響く。
さっき、あんなに丁寧にあいさつしていたのに…という思いが巡る。ギャップが激しすぎて焦った。

第二試合は、テイクダウンを狙いに行くペリー選手の頑張りが印象的だったが、蒔田選手も強烈なローなど打っていて、ドローに。

キャリア差がある一戦だったが、キシシ選手も粘りのあるグラウンド、一発で決めるギロチンがあり、興味深く思っていた。
しかし、試合は神田選手が上手く、強く、キャリアを見せつけて勝利。

今大会、唯一の寝試合=グラップリングマッチ。
自分は柔術ぼんやり層なので、MMAとは違った展開を興味深く見ることができた。
森戸選手が積極的に足関節を狙いに行くが、田村選手がディフェンス、巻き返そうとする展開に。非常に面白かった。
面白かったが、田村選手はやはり、今回実現しなかった修斗環太平洋王座のタイトルマッチが見たい。そして、森戸選手は、ケージの中でいつもと勝手が違っただろうけど、十二分に魅力的な試合をしてくれたので、これからも活躍を追っていきたいと思った。

ここで、サプライズ。ビッグなゲストが3人もケージ内に。

RIZINで活躍する斎藤選手と浜崎選手。加えて、我らが修斗の王、O REI DO SHOOTO 平良達郎選手。
後日、斎藤選手と浜崎選手の大晦日のRIZIN.33の出場が発表されたが、そんな二人が並んでゲストに来てくれるとか、なんというウルトラミラクルファインプレー。ありがとう、闘裸男!

そして、セミ。これが、僕の中で、かなり重要なウェイトを占める試合だったが、野瀬選手が圧勝。

前回流れて、今回実現したこのカードだったが、最初に奇天烈選手のキックをキャッチしてからは、最後まで野瀬選手のターンだった。野瀬選手はやはり強い。ずっと注目しているが、来年は一気に出てくる予感がする。
奇天烈選手は、残念ながら持ち味が出せなかったが、本来もっと評価されるべき選手。また見たい。

そして、いよいよメインイベント。

佐々木選手が、娘さんを抱えて入場。いつものスタイルに、さくちゃんが溶け込み、とても良いシーン。これがやりたかったという佐々木選手の願いが一つ叶った瞬間だった。

気合一喝、ケージインする佐々木選手。ジョナタン選手は静かに燃えているように見える。
試合は、佐々木選手が得意分野のグラウンドで支配したが、ジョナタン選手もスタンドでは長いリーチ、強烈なパンチがあり、柔術もこなすし、油断をできない。身長差もあり、佐々木選手も思うようにはいかなかったと思う。それでも、自分のすべき事をやり切った佐々木選手が判定勝利。おめでとうございます。良い試合でした。

そして、佐々木選手のマイク。
引退宣言か…と皆が思ったはずだが、現役続行。結果的に最後の試合になるかもしれないが、今は、動ける間は動きたいとのこと。
それよりも、今日初めて会場に足を運ばれたお母様、そして、ご家族への強い思いを、涙をこらえつつお話しされて、こちらも泣けてきた。
本当に、悔いのないようにしてほしい。

最後は、さくちゃんから花束。フジメグさんと一緒に写真に収まる。

終わってみれば、やはり、この闘裸男は「ササロックの大会」だった。

何だろうなぁ。この大会の話題の中心になったのは、ある意味、佐々木選手の思いであり、ご家族のことであり、凄く個人的なことのはずなのだけど、それを皆が共有するこのアットホームな感じが、本当に素晴らしい空間を作り出す。
会場全体があたたかい気持ちのまま、闘裸男26は大団円を迎え、無事に幕を閉じた。

「地方大会」っていう言い方があまり好きではないのだけど、やっぱり、地域、地元に根付いた大会で、選手も観客の関係も距離も近い中、自然と濃い空気になるのが「地方大会」の良いところだなと思う。
今回、佐々木選手の復帰という特別な試合のある大会だったが、自分のような遠征組も、その雰囲気の中に入ることができ、十分に堪能させていただいた。

ということで、今回のプロ修斗広島大会 闘裸男26/闘裸男GIG03も、佐々木選手の物語を中心に、新しい選手の輝きも見ることもできたし、勝負論のあるファイトも見させてもらった。本当に広島まで来て良かった。
試合内外のことをもう少しだけつづって、広島大会編を締めたいと思う。

(つづく)


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