星時文基地シリーズvol.0を終えて

1月23日に開催されたもりとみ舞さんのカフェ芝居を終えて、1年に渡って頑張ってきた「文基地シリーズvol.0」も終了しました。
一年に渡り一緒に作ってきた、もりとみ舞さん・加藤さん・モトキ君には本当に感謝です。そして来て頂くことでこのイベントを支え続けてきてくれたお客様にも感謝を。

イベントは企画者だけでは成り立つものではありません。楽しんで頂くお客様がいらっしゃって初めて成立するものだと思います。それをこの一年を通すことで改めて実感したように思います。

せっかくなので箇条書きにでも思いついたことをつらつらと書いていこうかなと思います。

体験タイプのイベントに関する厳しさ

集客にも繋がるのですが「無いモノを売る」という難しさですね。現物が無く、またそのものがどんなに客観的と思ってもこちらの主観でしか話せない。どうその魅力を相手に伝えられるように表現するかが勉強になりました。

値段設定に関して

今回は実験という意味も込めて1000円という価格で一年やりましたがこれは無償ボランティアがいて成り立つものだなと痛感しました。演劇の値段が高いというのも関わる人数を思えば当たり前のことだと実感。そういった意味でも付き合い続けてきてくれたスタッフに感謝。
ただ、初期の初期において「場を知ってもらう」という観点からこの価格というのは適正だと感じることも。そこから時期を見て「きちんと価格を上げる」という行為は必ず必要だと思います。今のお店の価値から考えると根付いた後の価格に関しては1500~1800円が適正のように思う。

岐阜での演劇に関して

一年通して理解したのは作品そのものと同じぐらい、やはり「縁」の深さが最終的な集客要素になるなというもの。役者なのか、場なのか、作品なのか、そういった複合的な要素にどれだけ引っ掛かるかというのが肝になります。
そう思うのも今回のカフェ芝居で確かに変わってきたと感じたのはやり始めてから半年後ぐらいからです。この辺りから「場」の縁から生まれる来客も見えたので。

縁の薄い人の芝居でも作品に何か感じるものがあればくるかといった問いに対しては「ハマっている人であれば来る(ただし人の繋がりはある程度必要)」というのが正解のように思います。実際一般劇団に所属し、メインを張るような人に関しては縁の薄い人であっても観劇に来てくださっていました。
なかなか岐阜ではなかったカフェ芝居という形に興味を持ってくださった部分もあるかと思います。

空間として

演劇ニッケルさんだけがやっていた時期と比べると格段に照明・音響の手の込み様が強くなりました。これもできますか?あれもできますか?という要望に対してとりあえず一つ一つ積み上げてきた結果の今の拡張具合だと感じているのでこれは続けてきた効果だと思います。今後も使うことで新しい発見があり、場の強みが増していくんだろうなとも思う。

店的収支に関して

実験というのもあってある程度公開してしまうと店側の収支としては年間でほぼトントンからちょい赤字かな?です。広告代を先行で負担し、4か月の公演の内2か月で回収。残り2か月が収入という形にはなっていたのですが、実働時間で考えると赤字にほぼ近い形です。
ただこれはこのイベントに限ってみた場合においてのこと。正直この月一カフェ芝居をすることで店の周知、この場で演劇が出来るという認知、及び実際企画された公演の収入などなど演劇が場に根付いたことによる付随効果がとんでもなく高いです。スポットで見ずに店としての稼働を見ていくと、本当にやって良かったと感じた一年でした。

自分が演劇に入り込めたこと

これは完全に個人の観点になりますが、月一カフェ芝居を通すことで自分はきちんと演劇という世界に入り込むことが出来ました。それはニッケルさん達との付き合いだけだった時の「場所貸しの立場」から「一緒に作る立場」に立ち位置が変わったことによります。一緒に作り上げる中でもりとみさん含め、たくさんの演劇人と会話をする中でその背景を自分に少なからず浸透してきたことが大きいと思う。

表現との対話

上記にある通り、自分は演劇という世界を月一カフェ芝居を通す中で自分なりに楽しむようになりました。それは演劇に限らず「人の生み出す瞬間表現と対話する」始まりでもあると思ってます。
普段テレビドラマも見ない、映画も見ない生活。芝居という表現と接する機会があまりにも乏しかったように思い返すと散見されます。
カフェ芝居を通じて、自主製作映画という「映画」の世界とも縁が去年は出来、演劇を観続けることで映画で起こる表現にも興味を持つようになりました。それが今年の文基地シリーズvol.1にも繋がっていくのですが。

表現の認識を拡げる

テレビドラマにしろ商業映画にしろ、普段は芸能人がやるプロのもの。だからこそ表現するものに対して自然とハードルが上がっており、違う世界のものとして捉えている。こうして関わる前の自分は何となくそんなイメージが残っていたように思います。
しかし関わっていくことでもっと表現は身近である。発信し、受けることもまた身近である。そんな思いが強くなっています。

自分で自分の認識を狭めていないか、その認識はもっと広く感じられるもので可能性のあるものではないか。普段からではないけれど、ふとした瞬間にそうして立ち止まって考えてみるのも必要かもしれない。

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この一年、もりとみさんのカフェ芝居を通す中で様々な発見、勉強、失敗を体験しました。実り多い一年だった。
そんな自分に関わって下さったお客様も含めて全ての関係者に感謝を伝えたい。

本当にありがとうございます。

主に自分に向けた内容メインとなりますが、見てくださった方に何かしら響くものであればそれもまた良かったと思います。サポートして頂いた分は考えを深めるものに利用していきます。