岐阜市上下水道事業経営戦略(案)に対するパブリックコメント 結果発表

 「命の水を考える会ぎふ」のfacebook記事からの引用。
 水道民営化、上下水道事業関連のパブリックコメントを提出する際にご参考下さい。

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 2020年3月16日、「岐阜市上下水道事業経営戦略(案)に対するパブリックコメント」に対する回答が公表されました。

 岐阜市からは、コンセッション方式については「現時点でコンセッション方式を導入することは考えておりません。」との回答を頂きましたが、民間委託、PFI方式については、「本市に適した官民連携を検討してまいります」と回答するに止まり、はっきりとした回答は頂けませんでした。

 また、広域化については、「健全な経営の下で持続的に上下水道事業を経営していくための取組は必要であるため、広域化について、幅広く、かつ、慎重に検討してまいります。」との回答を頂きました。

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< 意見 >
 岐阜市上下水道事業経営戦略(案) の31、32、43頁には「広域化・共同化の検討」、「官民連携の検討」に関する記述があります。

 広域化については、資材の共同購入は行う方が良いと考えますが、自治体を超えて管路を敷設するような広域化は多額の建設費がかかり、料金が高騰し、災害に対しても脆弱となり、財政にとっても住民にとっても負担になると考えます。

 また、水道民営化、コンセッション方式の導入は絶対にしてはいけないと考えます。
 理由は、欧州先進国の先行事例では、物価上昇を上回る水道料金の値上がり、サービス水準の低下、河川や湖の汚染、不透明な経営、必要な設備投資が行われない、自治体が民間事業者に対し利益を保障する契約を締結、民間事業者が自治体に対し損害賠償訴訟を起こそうとしている等、数々の問題が発生し、再公営化した自治体も数々存在するためです。

[ フランス ]
 1984年にヴェオリア社、スエズ社とコンセッション方式を締結したパリ市では、1985年から2009年の間に物価が70%上がる間に水道料金が265%上昇、2001年に水道再公営化を公約に掲げたベルトラン・ドラノエ氏が市長選で当選し、2010年に水道再公営化、水道事業の理事会を市議11名、労働者代表2名、市民社会5名(監視機関1名、上下水道専門家2名、環境NGO1名、消費者団体1名)で構成し、効率化によって3,500万EURを節減し、料金を8%引き下げた。

[ 英国 ]
 1989年に水道事業を完全民営化したイングランドでは、25年間で物価が2倍に上がる間に水道料金は3倍に上昇、ロンドン水道の運営をしているテムズ・ウォーター社が、事業収益をケイマン諸島のタックス・ヘイブン等に逃して節税し、会計の負債を膨らませ、老朽施設の更新の投資を怠ったが、英国政府の規制機関は会計のトリックを見抜けなかった。
 イングランドの水道事業では、年間約18億1292万ポンドの配当金が投資家に支払われ、約14億6498万ポンドの利息が金融機関に支払われており、再公営化した場合、1世帯当たりの水道料金が年間111.27ポンド節約できるとの試算がある。
 英国保守党議員マイケル・ゴーヴ氏は、2018年、ユナイテッド・ユーティリティーズ社のCEOが年間約4億円の報酬を得ていることを示し、「水道事業会社は利益を上げているが、それらを株主配当と幹部の給与に費やし、税金を支払っていない」と批判。

 PFIの先進国である英国では、2018年1月18日、英国会計検査院が報告書「PFI and PF2」の中で「PFIが公的な財政にプラスであるという証拠は乏しい。」、「総じて公的に資金調達されたプロジェクトよりPFIスキームは高くつく。」、「学校建設の分析では政府が直接ファイナンスするよりも40%割高。」、「PFIでは、公共による資金調達よりも2から4%(一部では 5%も)資金調達コストが高く、さらに多額の付加的な費用(資金調達のアレンジメント・フィーが元本の1%程度、マネージメント・フィーが事業総額の1~2%程度など。)がかかる。」、「公共部門にとっては、25年から30年という長期スパンでは費用がかさむとしても、短期又は中期的(5年程度)で見ると負債を圧縮できるので魅力的である。このため公共部門の意思決定がPFIに好意的になり、PFI事業を進めるために、Value for Money評価が甘くなる。」、「英国財務省はPFIのメリットとして、事業リスクを民間に移転できること、長期的なランニングコストが軽減されること、を挙げていた。しかし、実際にはこれらは概ね実現されず、PFI事業は開始時には予見していなかったコストをカバーするために高くついた。」と結論付け、2018年10月29日、フィリップ・ハモンド財務大臣は、「今後新規のPFI事業は行わない」と宣言。

 上記より、PFIも導入してはいけないと考えます。

 2019年3月、岐阜市議会に於いて、柴橋市長は「現時点におきましては、水道事業にコンセッション方式を導入することまでは考えておりません」と答弁しました。
 柴橋市長の答弁を踏襲し、岐阜市上下水道事業経営戦略(案)の31、32、43頁に「ただし、コンセッション方式は導入しません」と但し書きを入れて下さい。

 加えて、施設運転管理業務の民間委託はせず、技術系職員を増やして技術力を継承し、直営を堅持すべきだと考えます。

 最後に、国は一般会計から公営企業会計への繰入をしないよう公費投入基準の厳格化を主張していますが、今後のインフラ更新をすべて料金収入と公営企業債だけで賄うのは厳しいと考えます。
 インフラ更新のための繰入を認め、国による建設国債発行により財源を確保し、維持管理費のみ住民の受益者負担とする部分独立採算制にすべきだと考えます。

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< 岐阜市の回答 >
[ 水道民営化、民間委託、PFI方式、コンセッション方式 ]
健全な経営の下で持続的に上下水道事業を経営していくための取組は必要であるため、経済性の発揮や公共の 福祉の増進等、公営企業として果たすべき役割に注意しながら、本市に適した官民連携を検討してまいります。 なお、現時点でコンセッション方式を導入することは考えておりません。

[ 水道広域化 について ]
健全な経営の下で持続的に上下水道事業を経営していくための取組は必要であるため、広域化について、幅広く、かつ、慎重に検討してまいります。

[ 一般会計からの繰入、部分独立採算制 ]
地方財政法 第6条、地方公営企業法 第17条の2 第2項 において、公営企業の経費は、当該企業の経営に伴う収入をもって充てなければならないとされており、建設費 も含めた事業費用について、利用者からの料金収入による「独立採算」、利益を受ける方に負担をしていただく 「受益者負担」に基づき経営を行うこととされています。
この様な中、岐阜市では、維持管理費だけでなく、建設費も含め、「独立採算」「受益者負担」を原則として事業運営を行うため、能率的かつ合理的な事業運営に努めておりますが、必要な費用の一部について、一般会計から 繰入をしているほか、建設改良について国庫補助を活用し事業経営を行っているところです。
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[引用元] https://www.facebook.com/dra.chu.505/posts/202715171052981

■ 「岐阜市上下水道事業経営戦略(令和2~11年度)」(2020年5月21日更新)
https://www.city.gifu.lg.jp/37124.htm