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マルモッタン美術館

                           マルモッタン・モネ美術館

 マルモッタン美術館は、パリ16区のブローニュの森の東に在る。10年ほど前の晩秋の午後、ここを訪ねた。この美術館は、印象派の画家クロード・モネの「印象・日の出」(1872年 48×63㎝)を持っていることで有名だ。

 入口を入っての第一印象は、美術館らしくないなぁというもので、それもそのはず、ここは、元々はナントカ公爵が狩猟用に建てた館で、その後邸宅に改造され、1934年に美術館としてオープンした。で、色々な部屋が並び、そのころに流行った家具、什器などの調度品が展示されていた。絵は各部屋の壁に掛けられている。印象派の絵が多い。

 ところで、モネの「印象・日の出」だが、私は既に2回この絵を見ている。一回は東京の某デパートの展覧会で見た。この時は、「印象・日の出」は他の絵と違って、絵全体がガラスのケースで覆われていた。

 二回目は、愛知県のN市美術館で見た。この時は、広い会場に「印象・日の出」一点だけが展示されていた。会場は照明が落とされて暗く、この絵にだけスポットライトが当てられ、絵が浮かんで見えていた。絵の両側の暗がりには、制服、制帽のガードマンが両手を後ろに組んで監視している。観覧席は、前と後ろの二つに分けられ、後ろの席は階段を2、3段上がる構造になっていた。全体に物々しい雰囲気だった。

 で、この美術館でも、「印象・日の出」は特別扱いで展示されているだろうと思い、各部屋を回ったがそれらしい絵は何処にも見当たらなかった。おかしいなぁと思い、ふと横をみると、なんと、「印象・日の出」はそこに掛かっていた。同じ壁面には5、6枚の絵が並んでいて、その中の1枚が「印象・日の出」だった。ガラスケースに入っている訳でもなく、手を伸ばせば簡単に絵に触れてしまう。                                                                                             

 正直、少し拍子抜けだった。これが、本当に、アノ、「印象・日の出」なのかと思ってしまった。と同時に、絵が日常、身近にあるというのはこういうことをいうのだなぁ、と思った。マルモッタン美術館は写真撮影禁止なので、残念ながらその様子をお見せすることはできない。
 なお、美術館はその後「マルモッタン・モネ美術館」と改称された。

 


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