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賢い子の、見るに耐えないふるまいー「怪物のあるじ」夜のとばりの物語〜醒めない夢〜


「夜のとばりの物語 - 醒めない夢」に収められている
「怪物のあるじ」が
シンプル♬ だけど深いお話で大好き♡


影絵アニメーションは
「昔々…」と
おとぎ話ちっくだけれど

ミッシェル・オスロ監督がつくる世界は
古臭さよりも新しさを感じます。


🎬 あらすじ



洞窟のような
暗い「村」

大きな大きな怪物がいて
そいつが許した時だけ

水や食べものにありつける
人間たち


一番小さな娘は
人間たちからも厄介者扱い



娘は 何処からか現れたネズミから
「おまえは怪物のあるじだ」
と告げられる



それは伝説よ!



🎬 ネズミのお告げ?


ネズミの話を
自分のこととは信じない娘



ネズミは
構わず言う

「怪物は
おまえが目を逸らさず見つめれば
小さくなって消える」



娘は疑い、怖がりながらも
その話を信じてみる



言われるままに
怪物の前に立ち
じっと見つめ続ける


.............


.................


.........................



消えた!!



晴れて
好きなだけ水を飲んだ娘は



次々と怪物を消して

やがて村を出て
洞窟の暗がりを進んでいく




途中
火の怪物を消した…
と思いきや

小さく残っていた怪物から
火を浴び
髪を失う



痛い!もう嫌!!

と叫ぶ彼女は



恐る恐るだった
「見つめること」を

もういい!徹底的にやる!!
と 力強く進み始める




どんどん怪物たちを消してく娘の前に

見たことない扉が
明るい光が
漏れ差し込んでくる




ネズミが言う


外には王子が
みんなが
生まれた時から
おまえを待ってる




娘は
無くした髪を気にして

ダメ
こんな姿でなんか行けない……

と後ずさり


勝手にしろ!オレは行く!!

と扉の隙間から
出ていくネズミ



娘は
絶望にくずれ落ちながらも

傍に生える草の葉を
編み始める




「いい帽子じゃないか」

「戻ってきたの?」

「ああ おまえなら
自分でなんとかすると思ってな

賢い子の愚かな振る舞いは
見るに耐えん」





娘は 草の葉で編んだ
帽子とドレスを纏い
外へ踏み出す


🎬 二つが一つになる話





娘が 生まれて初めて見る 外の世界
何が待っていたのかは
その目で確かめて。





この話は
女性性(娘)が

不要なレッテル
(厄介者、弱い存在、ひとりきり)
を剥がして

ありのままで
(草の葉で作った帽子とドレスを纏い)
外界へ出る



その時に
娘の中の“男性性”が
(王子という姿で)迎える


娘と、王子という二人ではなく
ひとりの娘の中の

男性性と女性性という二側面が
ひとつになる結末。


……という風に見えますわ




誰も 片割れのままじゃ
お日さまの下に立てないの


見つめることを己に許した少女は
セッションにいらっしゃる
勇者のようです。

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