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愛について

私は20代前半という1番若々しく、女として輝いている時期に他人に恋愛感情を抱けなかった。

行動してみたら何か変わるかなと思って、マッチングアプリをやってみた。実際に相手と会った。それなりに趣味も合うし、一緒に雑貨屋や古着屋、カフェ巡りもした。とても優しい人だった。
それなりに楽しかった。

でもそれ以上でもそれ以下でも無かった。
その人と家に帰って通話する時間は私にとって苦痛だった。悪い人では無い。相手も真剣に交際相手を探している。だからこそ余計私の心は傷む。「ごめんなさい、私やっぱり恋愛感情っていうものがわからなくなってる。このままお互い関係を続けていても、あなたの為にならないから、私達はこのままさよならした方がいいと思う。」そう言ってその人とは関係を切った。

カウンセリングで恋愛をテーマに話をする。
「私みたいな人は誰かを好きになっちゃいけない。相手に迷惑をかけてしまう。身も心も完璧になるまでは私は誰かを好きになってはいけない」
「でもね、完璧になるって事と、恋愛っていうのは=では無いんだよ。それにね、人の数だけ〝好き〟ってあるものなんだよ。周りの人が、好きな人のどこを好きになったのか少し調べてみましょうか。あなたの頭の中で起きている事は現実では無いんです。まずは現実を知ることが必要」

色んな意見を貰った。
「顔が好き」「素直な性格が好き」「一緒に居て安心する」「絶対に自分のものにしたいと思った」本当に、誰一人として同じ意見は無かった。それぞれがそれぞれの〝好き〟を持っていた。

最近、ある事をきっかけに「あぁ、私この人のこういう所に惚れたんだったなぁ」と昔好きだった人のことを思い出した。

当時はその人の何処が好きになったの?と聞かれると、上手く言語化出来なかった。
でも今なら上手く言葉にできる。

私にとって、その人は完璧な人だった。
完璧な人なんてこの世には居ない。それはわかっている。ただ私には、その人の完璧じゃない所すら完璧に見えた。私はその人みたいになりたかった。とても心が穏やかで優しくて、その人の口から出てくる言葉は全てが美しく感じられた。
考える事も、他人に対する優しさも、周りを調和するオーラも、全てが美しかった。

私はその人とは真逆の人間だった。
暗くて卑屈で、他人と上手く馴染めなくて、馴染む努力すらしないような、それでいて周りが私の事を避けるとその相手を責め立てる。そんな人間だった。

私は、その人が人として美しいと思ったから、その人のことを好きになったのだ。

今思えば後にも先にも「人として美しい」と感じる人に出会っていない。その人が私の中であまりにも完璧すぎて、だからこそ私はその人とは絶対に結ばれる事はないし、その人を越えるような人には出会えないだろう。だからこそ、恋愛感情が消失してしまったのだ。

私は大人になった。あと数年すればアラサーだ。そろそろしっかりと地に足つけて生きていかなければならない。

〝好き〟と〝愛してる〟は少し違うと思っている

「好き」は相手と付き合いたいと思う。こっちを振り向いて欲しいし、私のことも愛して欲しいと思う。
でも「愛している」は違う。勿論付き合えるなら付き合いたいし、こっちを振り向いてくれるならそれに超した事は無い。でも、例え相手がこっちを振り向いてくれなくても、私が相手を愛している、その状況だけで幸せを感じるのだ。誰かを愛しながら生きるってこんなに幸せなことなのか、と。

私の好きは18歳で終わった。これから先好きという感情が私の中に戻ってくる事は無い。しかし愛する気持ちだけは私の中に永遠にあり続ける。

私の愛の終着点は付き合う事では無い。愛する人が全てに絶望して、人生という道に迷って、誰も信じられなくなった時に、頼ってくれるような存在になる事だ。
苦しい時辛い時迷った時に、この人だったらいい助言をくれると私の事を思い出してくれるような存在になる事だ。

私の愛は他人の愛よりも重すぎる。

だからこの感情を相手にそのままぶつけると、相手を私の愛で縛る事になってしまう。優しいから、キャパを超えてでもその重い愛を受け止めようと努力してくれるだろう。でも私はそこまで無理をして欲しくない。私の愛がその人の人生の足枷になって欲しくないのだ。

私は成長した。まだまだ弱い部分も沢山ある。でもある程度自立して生きられるようになった。だから無理して受け止めなくても大丈夫。

私からは何も言わない。でもきっと、その人はわかってくれると思うし、「そんなに自分は完璧な人間じゃないよ」って言うと思う。でもそんな所も私からしてみれば美しく見える。

そして私自身が私の愛に依存しないように気をつけなければならない。でないと見返りを求めてしまう。その感情が相手を縛り付ける事になるし、私も苦しくなる。その為にはもっと自立する事だ。

何よりも自分を信じてあげること。
自分を愛することは他人から愛されることと同じ。自分を大切にできないと、他人も大切にできない。

色々語ったが、ここに書いたような事も、その人から学んだ事だ。その人は何もしてないって言うかもだけど、あなたが居なかったら私はこんな風に考える事も出来なかった。今でもこうやって私に知恵を授けてくれる。本当に素敵な人間だよ。

人間生きていれば苦しい事だらけ。私も苦しいことだらけだ。現実は何も変わらない。でも考えを変える事は出来る。そうやって成長して、今度は私があなたの救いになれるような人間になりたい。

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