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もう少し、金沢

金沢市から七尾市まで、約1時間30分、避難所の支援員は毎日送迎される。

送迎するのも派遣された行政職員だ。

僕らの避難所まで送り届けてくれるその人は、人懐っこい笑顔で、けれど少し困ったように愚痴をこぼす人でした。

たまに軽薄な笑い声で、不平不満を言う。

慣れない道を、慣れないレンタカーで、毎日僕らと交代要員と一日2往復を5日間。

それはそれで大変辛い仕事だ。

僕らは朝ホテルに着けばそれで自由だ。
眠ってもいいし、観光してもいい。一番条件がよかったとさえ思っている。

昼間の避難所担当は、朝6時発、夜10時着なので、実質何もできない。

夜、ちょっと飲み屋に行こうと思っても、限られている。
何せ次の日6時発なんだから。

さらに送迎要員は朝6時発、送迎して10時着、夜6時発、10時着を繰り返す。

比較的時間はあるかもしれないが、飲めないし、運転ばかり疲れること間違いない。

だから、かもしれない。

その人の運転は徐々に荒々しくなっていった。

さらに、同じ道を何度も何度も運転していたせいだろう、うつらうつらと眠りそうになり始めた。

これは危険、と感じた僕ともう一人の避難所担当は、その人がうつらとなったらすぐに話しかけるようになった。

結果的に、なんだから仲良くなったよ、と言う話。

めでたしめでたし。

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