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エキゾチック・ジャパンは存在するか

そこはエキゾチックな国でした。
私は貧乏な旅行者で、泊まる宿を求めて郊外までやってきたのです。
そこまでくる交通費はどうなる?とか面白くないことは聞きません。

そこで私は安い宿に泊まり、その土地の郷土料理を食べて、その土地のパブやバーに立ち寄って帰るつもりでした。

郷土料理がまず奇妙で、嫌な予感はしていました。
なにしろ、ムカデの姿揚げが、まずはこれ食べてみて、で出てきたものですから。
あらかじめ、うちは虫出す店だから嫌だったら言ってね?とか言われていたら、私も覚悟を決めて、そのムカデを齧っていたでしょう。
けれども、予告もなしに、ムカデは揚げたてで湯気がたちのぼり、その湯気は私も鼻を燻っていくのです。

確かに、えび、そのものではありました。
まずいわけではないのです、むしろ、甲殻類の香ばしさがより濃くなったような味でした。
いわゆる食わず嫌いなのだな、とさえ、私は思ったほどです。

味がいいからと言って、断りもなくムカデの姿揚げを出すものではない。
と私の国の常識はささやきます。
これがエキゾチック、だとしても私は認めない。

ただし、それを運んできたおばちゃんがね、これがとても魅力的で、私は思わず息を飲んだのです。
なぜっておばちゃんは、スケルトンの衣服を纏ってね、中身が透けていたのだから。
どうして、私ら客がそれを望んでいると思っているのかどうか、疑問であるが、スケルトンはエキゾチック、そのものだった。

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