百鬼

もし現実にと
その光景を想像したら
尻込みしてしまう

朝茶はその日の難逃れと
いつものおまじないをかけ
茶柱が立たずとも
日付が変わる頃まで
無事に過ぎますようにと願う

電車は滑らかにホームに到着
誰もつかまらない手すりが
右に左に揺れ
曇り窓の外に
ぼんやりと灯りが
流れてゆく

踏切をいくつも過ぎ
反対を行く電車と
バタンとすれ違い
あっという間に目的地

今のところ 
鬼は見かけない



















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