葉っぱが一つもなく
つるんと丸裸の木
何の木なのか
分からずにいた

ここ1週間で
細身の朱いつぼみが1つだけ
きっとあの花
なかなか咲きそうにない

周りには少しずつ
若葉が芽吹く
これもまた
なかなか葉を広げる気配がない

果報は寝て待てとばかり
じっくりと 時をかけ
待ち焦がれたその日に照準を合わせ
幹から枝先へ 水を行き渡らせ
準備をしているのだろう

この様子では
満開の時に居合わせることは
ないのかも知れない

見る者をあっと言わせる程の
転身を遂げる様を思い浮かべる

この木は この場所で
毎年こうして
華奢な姿から
飄々と背を伸ばし
少し離れた別の木と
互いに枝先が触れる程に
育ったのだと

たった1つのつぼみを
希望をこめて
今朝も見守る

















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