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たろおみが好きで、夏が終わってしまう

以下、敬称略

たろおみというミュージシャンを見つけて、聴いていたら夏が終わりそうになっている。
大学4年間でずっと、何かやらなきゃと思っていて、そしてそのまま終わってしまいそうになっていることに焦っているが、多分本当はこんなこと言わない方が良い。
たろおみが好きとか、もりもりごはんが好きとかも本当は言わない方が良くて、そういう気持ちとかを膨らませて、何か別な形で出力しなきゃいけないし、そうしたいのだが、結局直接的で楽で、気持ちいい方に流れてしまっている。気持ちいい方に流れるのはダメじゃないけど、これは何か違う気がする。
だから、せめてもの抵抗として、好きな曲は一曲だけについて書こうと思う。こうやって解凍していくことで、自分の好きな気分が溶け出してしまうかもしれないという怖さはあるけど…。
何についてもちゃんと考えていないのに、だらだら感情を書くのも嘘になる気がしてきたので、そろそろ曲について書く。それも、多分嘘を含むことになります。

嫌いにならないでね、という曲が好きです。他にも好きな曲はたくさんあるけど、この一曲だけ。
僕は宅録剥き出しのローファイ感のある曲が好きで、この曲もそんな風に聴こえる。これが好きな理由と、もりもりごはんの動画が好きな理由は、おそらく重なるところがあると思うが、それがこの前書いた内容で触れられているかは分からない。
だけど、この宅録感も、やはり音楽の世界に引き摺り込まれるというよりか、現実に侵入してくるように聴こえる。現実を書き換えられている自覚すらさせない魔力がある。この、現実、というのは、勿論僕から見た現実ということになります。
舌足らずのギターリフが、すごくさみしく感じる。めちゃくちゃ良い。スネアにリバーブがかかっていて、ライドシンバルで刻んでいるのにすごく閉塞感がある。この音は、自分の内面の空間をうまく表現していると思う。こころのサイズがなんとなく分かる。
こんなに良い音で、良い曲なのに、急に始まって急に終わって、しかも短いというのも、ニクい感じがあるけど、そういえば感情とかはそんなものかもしれない。急に終わる曲って、音がなくなったことを強く意識させられる。この終わり方は、ちょっと怖さもある。何となく、藤子・F・不二雄の、ある日・・・を連想させなくもない。ゆらゆら帝国の、まだ生きている、とか…。

軽く曲の雰囲気に触れるつもりが、意外と長くなったので、本題に入る。
僕は、この曲の歌詞が好きで、それについて書こうと思っていた。この曲は、歌詞だけが好き!というよりも、曲自体、歌詞を含めた全部が好きなのだが、特に、歌詞に注目して書く、という意味である。曲を構成する全部が好きなので、当然歌詞も好きだ。

歌詞が好き、と言っても、この曲の歌詞のほとんどは、僕は聞き取ることができなかった。聞き取れていると思っている部分も、聞き間違いである可能性が大いにある。だけど、誰かも言っていた気がするけど、聞き間違いでも、自分が好きな言葉に聞こえているのなら、それでいいと思う。だから、聞き間違いは多めに見てください。

洗濯物なら干したら 干し足りないから汚すわ
お腹が空いたら写真を 一枚燃やしてしまうの
嫌いにならないでね 忘れて良いからさ

僕が、特に好きなのは、この部分だ。本当に、とても好きだ。
この曲は、全体的に、全て終わった後、という雰囲気がある。好きな人(友達とか、あの子、あの人とか)がいて、もう会えないんだろうな、という感じ。ずっと一人でいるように聞こえる。
よく、忘れられるくらいなら、嫌われた方がマシ、ということを聞くが、これはさらに裏返って、やはり嫌われたくない、と言っている。人間的。それにプラスして、好きな人に、自分がいた痕跡が残らなくても、自分が一人、忘れなければそれでいい。もう会わないから、好きな人には負の感情なんて残したくない。というニュアンスも感じる。
洗濯物の、無意味なループも、一人を感じさせる。本末転倒なことをしていて、ずっとそこから出てこない気がする。こころの中の小さな幸せだけを守って、ぐるぐる回っている感じ。とても暖かいけど、さみしい。
お腹が空いたら写真を 一枚燃やしてしまうの
というフレーズは、特に好きだ。冷凍食品を解凍している感じ。写真は、思い出を永遠に記録しておくものというイメージがある。それを燃やしたら、閉じ込められていた思い出が出てきて、自分の一部になってくれるんじゃないか。質量保存則的な。違うか。写真を見るだけじゃ、我慢できなかったのかもしれない。こうやって、お腹を満たしても、いつかまたお腹が空く。思い出を消化してしまって、どんどん写真が燃えていって、いつか何も残らなくなってしまう。それに気づいているから、写真を燃やして「しまうの」なのだと思う。
もう、嫌われていないことだけが支えなのだ。自分との記憶が跡形もなく消えても、嫌われてさえいなければ良い。どんな別れ方したんだ…。最後に爪痕を残そうとして、その後悔のまま生きているのかもしれない。
この曲の主人公は、ずっとこんな暮らしをしてきたのだろう。曲に起伏があまりなく、どこまでも続いていきそうな感じがあるので、そう感じさせる。冷たいギフトとか、what goes onとか…。
だから、急に終わるのがやはり少し不穏。これはこれで幸せなのかもしれないけど、あんまり認めたくない。

キモくなってきたし、こんなことを書くはずではなかったので、この辺で終わります。文章が下手だな。
夏に、何かしたかった。


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