〈韓国原書〉本の話を読みました
チャンネル登録者数28万人を超えるYouTubeチャンネル「겨울서점(ギョウル書店)」の運営者、キム・ギョウルさんの書き下ろしエッセイ本です。
チャンネルでは独自の視点でおすすめの本を紹介。本の楽しみ方や読書の楽しみ方を「見せて」くれます。そんな著者が、100冊の本から選び抜いた100編の文章にまつわる自身の考え・体験談・ホンネが綴られた構成になっています。
題 名 책의 말들(2021年2月発行)
著 者 김겨울(キム・ギョウル)
出版社 도서출판 유유
印象深かった内容を、いくつかご紹介します。
旅を終えたら出発地点に戻るが、そこは前と同じではないだろう
日常生活では味わうことのできない旅先での出来事がきっかけで、その後の考え方やものの見方が変わるという経験。私もあったようななかったような・・・・・・少しはあったような覚えがあります。
本の中も「異空間」。読めば読むだけ、今後の人生に思いもよらない変化をもたらしてくれるかもしれませんね。
今、この場で私が死んだら・・・・・・
もし、本に囲まれた部屋の中で著者が死んで、心理学的剖検(死因を解明するための検査・捜査)がおこなわれたら「本に埋もれて死んだ」、死体のそばに微分積分の本があるから「微分積分は理解してから死んだと思われる」、部屋に並んでいる本の種類を分析して「現代性における悩みを抱えていたもよう」などなど(まだまだ続く)。
なんと豊かな想像力(笑)。シャーロックホームズ全集の1編とともに、この話が載っていました。私自身もかなりの妄想族だと思っていましたが、甘かったです。
本を読むことはすなわち、傾聴である
読み手は書き手の言葉を傾聴し、書き手は自分の言葉を傾聴する。双方の傾聴によって、本は完成すると書かれています。傾聴にも一種の技術が必要だから、一冊の本を読むのもパワーが必要ですね。
そして現在は「あらすじまとめ」「ネタバレ」など、簡潔にまとめられたもので満足できてしまう時代。著者は、そんな時代でも私は最後まで「書き手の声が聞きたい」と述べています。同感。一冊読み切るのは大変ですが、自分の目で、耳で、著者の言葉を感じたいですね。
著者が大学院で哲学を専攻していることもあり、見慣れない哲学の世界にも触れられていました。理解するのが難しいところもありましたが、なかには「本を水浸しにしたこと、あるよね」「分厚い本、読破したい!」「ものすごいリアルな夢を見るんです」といったような、チャンネルで話す明るいノリで書かれたものもあり、全体を通して楽しく読むことができました。
読み終わった今、とにかく本を読みたい気持ちでいっぱい(笑)本と楽しく向き合うヒントをたくさんもらったので、これからの読書がますます楽しみです。
おまけ
この本の出版社からは「〇〇 말들」というタイトルのシリーズ本が多く出版されています。「ドラマ」「旅行」「詩」「習慣」「態度」など、身近な素材がタイトルになっているので、抵抗なく読み進められそう。次はなにを買おうか迷い中です(笑)。
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