生命の起源に関する仮説
生命の起源に関しては、人間にとって最も知りたい謎の1つです。古代には神話でそれを説明しようとしました。様々な宗教でもそれを説明しようとしています。
本記事では神話や経典で説明する「天地創造」などの超自然説を除外し、科学的な説だけを取り上げることにします。
大きくは、地球外説と地球上説に分かます。
地球外説:宇宙からやってきた説
隕石に乗って宇宙からやってきたという考え方です。実際に隕石からはアミノ酸・脂質・RNAの素が検出されているから、可能性が捨てきれません。
最近のほとんどの宇宙探査の目的には「地球外生命探査」を含んでいます。
「宇宙生物学」は1995年、NASAが"Astrobiology"という言葉を公式に使うと宣言したことから定着し、国際学会も頻繁に行われるようになりました。
ハヤブサ、ハナブサ2が小惑星イトカワや小惑星リュウグウから持ち帰ったサンプルは直径1mmほどの粒子数十個ほどです。
これらはNASAや各国の研究機関に送られ、分析が行われました。その結果、多数の論文が発表されました。主な内容は「塩や有機物を含む炭酸水、アミノ酸が見つかった」などの報告です。
最近のNASAの火星探査結果の発表でも、「火星から生命の痕跡は見つかっていない」とのことです。
誰も地球外生命は見たこともなく、証拠も挙がっていません。にも関わらず、多くの人が「地球外にも生命はいる」と信じている、不思議な説です。
もし地球外から生命の起源と考えられるものが地球にやってきた証拠が見つかったら、「生命の起源」研究は一発逆転の可能性があります。
地球上で発生した説
自然発生説
最初の学説はアリストテレスが唱えたものです。世界百科事典によれば、「生物が親なしに物質から偶然に発生することがあるとする説」です。例えば、「ミミズは土から生まれる」などです。
日本でもほんの最近まで「ボウフラがわく」、「ウジがわく」などと言われていました。
「ウジがわく」説は、蓋がない瓶の中の魚にはウジが沸くが、蓋をした瓶の中の魚にはウジが沸かない、と言う実験で否定されました。科学の基礎となる対照実験といわれる考え方です。
化学進化説
かつて地球上に生命が誕生する前に有機物が蓄積していたという考え方は、20世紀になってようやく表れてきました。
科学進化説は、これらの有機物が何らかの条件下で生物になったという仮説です。ユーリー-ミラーの実験では、水・メタン・アンモニア・水素を混ぜ、電気刺激を与えたらアミノ酸ができた。かつては非常に有力視されました。現在の高校教科書では・・・
考えてみれば、洗濯機の中でレゴブロックを回したら、それっぽいものができた、と言っているような説ですね。
熱水噴出孔説
1970年代に硫化水素・メタン・水素などを含む350°C以上の熱水が噴出する熱水噴出孔が見つかりました。現在の高校の生物教科書では・・・
太古地球環境に似た過酷な環境で生物が生きていることがわかり、有力となりました。
・今までにない新しい生物が見つかっている。
分類系統樹に新たな系統「古細菌」を追加することになりました。
・一度できると、長く安定的に存在する。
・生物に必要なエネルギーや電気がある。
・アルカリ熱水口でさまざまな生体物質ができている。
・海底なので、生物にとって有害な強い紫外線が届かない。
有力ではあるけれど、状況証拠でしかありません。決定打がないのです。
生命の起源研究の入り口
このような状況で、あなたなら生命の起源の研究はどこから取り掛かるのが良いと思いますか?
・宇宙を調べる
・熱水噴出孔を調べる
・原始的な生物(生命の起源に近い生物)を探す
・有機物から生物を作り出す
残念ながら答えは見つかっていません。
【マガジン】生命の起源
生命の起源に関する仮説(本記事)
遺伝子数473個の最小人工生命体 syn3.0
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