This is my work I have done(3)

「世界四大文明展」2000年8月開催

エジプト、メソポタミア、インダス、中国の四つの古代文明をとりあげた展覧会が、東京都内、横浜の博物館、美術館4館で同時開催された。東京国立博物館では、2000年8月2日から「エジプト文明展」(10月1日まで)、東京都美術館では、8月5日から「インダス文明展」(12月3日まで)、世田谷美術館では、8月5日から「メソポタミア文明展」(12月3日まで)横浜美術館では、8月5日から「中国文明展」(11月5日まで)がそれぞれ開催された。いずれも、主催は開催館とNHK、NHKプロモーションであり、こうした試みはNHK75周年記念としてではあるが、初めてのことであった。入場者数は、エジプト文明展・東京国立博物館で約62万人、インダス文明展・東京都美術館では約41.3万人(他の2館は不明)とかなりの動員数になった。。

私が担当したのは、各館のポスター、チラシ、交通広告、チケット類など周知印刷物全般の制作と印刷よインダス文明展の図録制作であった。周知印刷物については4館分あり、アイテム数をとっても相当な種類と分量となった。これを受注できたのは4社によるデザインコンペを勝ち抜いたからである。美術出版デザインセンターや便利堂ほかこの分野では実績のある会社であったが、優秀なデザイナーと組むことによって受注につながった。

このコンペに勝ち抜くためのポイントはメインビジュアルを何にするかであった。これに相応しく、なおかつインパクトのあるビジュアルを選べれば、ほぼ勝負はつくと思った。そのメンビジュアルのヒントは1968年に公開されたスタンリー・キューブリック監督による映画『2001年宇宙の旅』にあった。「モノリス」である。「モノリス」とは月に人類が居住可能になった時代、クレーターで発掘された石柱状の謎の物体である。地球外知的生命の道具で、様々な用途に使われる高い汎用性を持ち、ある生物の劇的な進化を促すものもあれば、滅ぼすためのものもであるなど役割は様々である。「生物(人類)に大きな進化を促す‥‥」物体(映画ではヒトザルに知能教育をもたらした)、モノリスにヒントを得てメインビジュアルに据え、各文明の代表的な遺物と文字を背景にデザインした。これはデザイナーの素晴らしいアイデアであり、これらを石柱に上手くデザインできれば今回の展覧会のメインテーマを表すことができると思った。このようなコンセプトでコンペに勝ち抜けたといっても良い。

この仕事は会期が長いのと印刷物の種類が多いので、始まるまでの半年間、終了するまでも半年近くロングランであった。売上的にはかなりの額になったが、社外のデザイナーや印刷会社に依頼するものが多く、利益という面ではイマイチであった。依頼主であるNPSとしてもこれだけの催事としての予算どりがかなり絞られたせいか、決済については厳しかった。また、開催するまでの準備でおそらく4、5年を要した大きな企画なのでその間の収支に関しても難しいかったと思われる。これ以降、NHK関係の受注については積極的に行わず、大きな仕事としてはこれが最後となった。

余談ではあるが、東京国立博物館のエジプト展で周知印刷物に使う写真が間に合わず、到着するなり東博内で撮影し、どうにか間に合わせることがあった。また、入場券については各館で印刷枚数がまちまちで、なおかつ種類が多く全てにナンバーリングしなければならず、大へん苦労した記憶がある。また、三島に住む義父を、酷暑にもかかわらず全ての展覧会に案内できて良かったと思う。

#世界四大文明展
#2001年宇宙の旅
#モノリス

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