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元鬱病、たじろぐ

新年度である。
昨日と何も変わらない普通の平日を送る私も、なんだか浮き足だってブラックコーヒーではなくカフェラテを飲んでしまう。皆様も良い初日を迎えられているといいなと思うのですが。

先週の社会人コミュニティの飲み会のことである。本日から大学1年生のあまりにもピカピカなメンバーが2人おり、彼らの新生活が焦点だった。彼らは二人とも東北の田舎から上京してきて「履修登録がうまくできない」だの「新歓に行くのが楽しみ」だのこちらが気絶するくらい若々しい内容をはにかみながら早口で話していた。

聞くと1人は国語専攻だと言う。私も読書が好きなので言語の話題をしたくなり、ふと好奇心で「なんで国語が好きなの?」と聞くと彼はややムキになって「なんで?なんでって…」と目を大きく開いてこちらを凝視した後、目線をずらして答えに窮していた。

彼の反応を見た瞬間に、己の質問が悪かったかと省みた。好きだから本当にその学部に入れる人間の方が少ないというのに、自分が好きな専攻に入れたラッキーを忘れて、思わず踏み込んでしまった。なぜだろうか。自分にはもう帰ってこない青春を今から全力で送る彼らの若さに嫉妬して、意地悪をしてしまったのだろうか。自分も嫌な大人になったものだ。

それとも「好きだから入った」と言い切るのが、18歳にはできなかったのだろうか。好きに理由なんてないし、それを潔く言えるのはとてもかっこいいことだと思う。しかし、18歳がアラサーに専攻を好きな理由を聞かれたら、やはり論理的でかっこいい理由を言いたかったのだろうか。

いずれにせよ、10歳も年下を困らせてしまったのは事実で、ここらで軌道修正せねばヤバい大人になるなと焦った。そんな新年度である。

彼らが今日から4年間かけて都会で迷子になり、恋をして、徹夜でくだらないことを全力でして、旅に出て、大切な人との別れを経験して。…いやはや想像するだけで幸あれである。

明日は自分に優しくできますように。

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