アトピーの治療薬~シクロスポリンについて~(薬剤師向け)

①外用ステロイド剤
②抗ヒスタミン薬(アレグラなど多種類)
③ステロイド以外の塗り薬(3種類)
④紫外線療法
⑤シクロスポリン(飲み薬)
⑥JAK阻害薬(飲み薬で3種類)
⑦生物学的製剤(注射薬で4種類)
中でもシクロスポリンは飲み薬としての役割を果たし、免疫系の活動を抑えることで炎症やかゆみの症状を効果的に抑制します。これは10年以上も前から保険適用されているにも関わらず、多くのクリニックで使用される機会が少ない不思議な存在です。

シクロスポリンはその特性から、炎症だけでなく、特にかゆみに対しても劇的な改善を見せることが特徴です。個人によっては数日で効果を実感することもあり、初めて使用する患者さんには驚きをもって迎えられます。一般的に処方される抗ヒスタミン薬と異なり、かゆみだけではなく炎症そのものを抑制するため、悪化するサイクルを断つことが可能です。

治療は12週間を上限とし、その後2週間の休薬期間を設ければ再び治療を再開できるため、長期にわたる継続的な投与ではなく、状態に応じた間欠的な使用が可能です。この点がシクロスポリンの使い勝手の良さを示しています。

免疫抑制剤としてのシクロスポリンには感染症のリスクが伴いますが、適切な低用量管理によりそのリスクを軽減できます。最も効果的なのは、食事前に一日一回の投与です。これにより吸収が向上し、必要な効果を低い用量で達成できます。通常、100mgを朝食前に一回服用することで、体重差に関わらず効果に大きな差は報告されていません。副作用のリスクには注意が必要ですが、適切な投与法を守れば、高血圧や腎機能障害の心配はほとんどありません。ただし、定期的な血液検査によりこれらの副作用をチェックすることが重要です。
シクロスポリンは広範囲の皮膚症状や激しいかゆみに苦しむ患者に適しており、特に外用薬だけでは寛解を達成することが難しい場合や、夜間のかゆみで睡眠が取れない場合に推奨されます。また、重要なイベントが控えている際に短期間で症状を改善したいと考えている方にも有効です。
アトピー治療は新たな注射薬や飲み薬の出現により劇的に変化していますが、シクロスポリンは比較的費用負担が少なく、効果的な治療選択肢として十分に検討する価値があります。この薬はアトピー性皮膚炎に悩む多くの人々にとって、新たな希望を提供する可能性を持っています。

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