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HYBEオタク、0X1=LOVESONGを語る

私の10年以上に及ぶKPOPファン経歴の中で、初めて聴いた瞬間から強烈に引き込まれた曲は数える程しかありません。今回のテーマ、0X1=LOVESONGはまさにそんな一曲です。どれほどこの曲が好きかというと、2年前の楽曲であるにもかかわらず、未だに月一位で、一日中0X1=LOVESONGを一曲リピート再生する発作症状を起こす程です。

そもそも、TXTの事は音楽関連のコンテンツだけチェックする、BTSの遺伝子を受け継いでるからそりゃあ好きに決まってるよね!程度のノリで見ていたのですが、この曲が出てから他のコンテンツも一生懸命追うようになりました。こんな歌をこんな風に表現できる才能のある人たちって一体どんな人物なの?という興味が湧いてきたのです。

まず、この曲の魅力は、ポップロックというジャンルである事です。ダンスパフォーマンスが基本であるKPOPにおいて、踊りやすいジャンルが好まれがちな事も、ファンもEDMやヒップホップが好きな事も知っています。もちろん、事務所だってそんな事は分かった上でこのジャンルを選んだはずです。それでもあえてというセンスと挑戦的な態度が魅力的で、これはTXTの一貫した方向性でもあると思います。EDMのトラップの曲は一度も出していないはずですし、今時ボーイズグループが5人でデビューするのも普通じゃないと思います。(個人的に、TXTは5人という数字でないと成り立たないグループですが、男性KPOPグループの最適な人数は7人だと思っています。)丁度、ロックジャンル自体、ポップス界のトレンドであった事も上手く働いていたと思います。いくらビッヒでもこんなタイムラグなく流行を取り入れるなんて!!!と驚きました。きっとコンセプトに合わせたジャンルの選択といった要素もあったのだろうとは推測しますが…
とにかく、ポップロックというジャンルを選択し、その中でもKPOPの音楽的な自由さをフル活用して個性的な楽曲を作った点が基礎的かつ最大の魅力です。

ところで、彼らがロックサウンドを取り入れたのは意外と早い、「9と4分の3番線で君を待つ」や「NEW RULES」からだったのはご存知でしょうか?はじめて943を聴いた時、私が丁度、KPOPが似たようなEDMサウンドまみれな事に飽きかけてしまっていた時期だったんです。電子音ばっかりでつまんない、と思っていたところにギターの音がしっかり聞こえる曲を聴けば…!おおっ!と思うじゃないですか。私はそうでしたし、この後カムバするはずのBTSもバンドサウンド的な電子音メインでない楽曲を出してくれるのではないか…と期待しました。(結果的に、ONは期待通りだったのですが、実はBLACK SWANの方がお気に入りです。)なので、「TXTが急に方向性変えた」とお考えの方もそこそこいらっしゃるようですが、そんな事ないよ!よく聴いてみて!と言いたいところです。

次に語りたい魅力は、感傷的でドラマチックなトラックとメロディーです。イントロのドンッというドラムの音で心臓鷲掴みにされます。そして、曲の中でかなりの頻度でボーカルの後ろで響く‘wo〜wo…’の声も切なさ増し増しにしてくれます。Aメロのギターのメロディー、大サビ前のブリッジのギターもとても切ないです。絶望感しか残らない感じ。サビなどでムーンバートンのようなシンコペーションを使っているのも好きなポイントです。ノリノリ過ぎず、メロウ過ぎず、丁度よく気分が上がるリズムです。

メロディーに話を移すと、やはりフィーチャリングのソリさんのパートが最も印象的で、自暴自棄になって勢い余っているようで、弱々しい姿を晒け出す歌詞の内容とリンクしていると感じます。それから、「I know it's real I can feel it〜」からサビは言わずもがな。テヒョンのがなりを初めて聴いた時鳥肌が立ったのを今も覚えています。それまで、テヒョンの歌声は甘い方だと思っていましたが、こんなに切ない歌い方も似合う人だったなんて…彼の表現力の豊かさはTXTにとって欠かせないものだと思います。(個人的には、楽曲のテイストを理論的に捉えて落とし込んでいる所がツボです。期待を裏切らない究極のT、カンテヒョン。)もう一つ触れたいのは、ラスサビ前のヨンジュン&スビンのブリッジです。メロディーそのものにも切迫感、弱い内面が滲み出るような感じがありますが、2人にとって若干高めの音域になる事もその雰囲気を強調していると思います。(pdoggPDニムが、わざと高めの音域を歌わせる事で良さが出るとおっしゃっていた事もあります。)あと、パフォーマンスの時には、「녹아가(ノガガ)」の部分、ヨンジュンの声量がグッと上がるのがものすっっっごく好きです。

ここまででも十分長いのに、まだ言いたい事は終わっていません。歌詞についても語りたい事がたくさんあります。まず、RMが作詞に参加している点は大きいです。彼の書く詞は、絶望感やネガティブな自分と向き合わせられたり、その感情に浸かりきってしまわせたりする力があり、そこから日々を耐えるエネルギーを与えてくれます。私の人生において、彼の歌詞が与えた影響はとても大きいんです。話が逸れかかりましたが、もし、このnoteを見てくださった方の中で、歌詞をちゃんと読んだ事ないよ、という方がいらっしゃれば、この動画をご覧になってください。

まず、「このゼロの世界の中で」「全ての事が僕の手から瞬く間に遠くへ逃げていく」「深淵の底で、君は唯1輝いたgold」「きっと僕はダメだ、天国には行けないんだ/僕の居場所は天国になんて無い」といった、「自分の人生なんて何の価値もなくて真っ暗なんだ」という絶望感や諦めに満ちた表現がたくさん登場します。きっと完全に大人になってしまえば、この表現に心地良さを感じなくなるのだろうから、今この表現から得られる感情を存分に味わっておこうと思います。あえて数字の1で表記することについて、RMはやりすぎだと話していた記憶がありますが、0な僕を埋める1=君というタイトルの回収としては面白い表現だと思います。そこで思う事なのですが、0X1=0なのに、LOVESONGになるのは何だか皮肉な気がしませんか?実際には、君との恋は僕にとって現実逃避でしかなく、僕の世界はゼロのままなのに、それを見ぬふりして0X1から何かを生み出せると思い込んでいるような感じがします。
次に、私が一番好きなサビの歌詞を見てみると、

「僕は問題だらけのLOVE SICK/道がなかった、死んでも良かった/I’m a loser in this game」
「世界に唯1の法則/僕を助けて、手を掴んで/please, use me like a drug」
「Say you love me, say you love me/世界の果てまで/All or nothing, I want all of you」
「Say you love me, say you love me/世界の果てまで/All or nothing, I give all of you」

本当にアイドルの楽曲の歌詞なの!?と思うほど、過激に大人になりかけの少年の暗い感性を取り出しています。私はここまで自暴自棄な態度で思春期を過ごした訳ではありませんが、この気持ちはよく分かります。「死んでも良かった」という言葉が暗くて底無しの心の内の内にある自己を丁度良く表現しているように感じました。今あるものをメチャクチャにする勇気もないけど、内面には嵐が吹き荒れていた時期が私にもありましたし、きっと誰もが経験するものですよね。当時の私にとっての1はBTSだった訳ですが、ここでは初恋の相手が1となり、恋に全てを傾ける事で現実逃避を試みているのが分かります。このサビの中でキラーフレーズと言えば、「please, use me like a drug」ですが、私はここが一番好きなポイントです。インパクトのある言葉ですし、drugという単語一つで、自分が堕落した存在であり、君によってもっとメチャクチャにされてもいいんだ、ただそばにいて!という気持ちが表現されていると感じます。君がdrugでメチャクチャになっても構わないから、とにかくそばにいて!という自分勝手な悪い男かもしれませんし。こういった、過激なワードチョイスによって思春期特有の仄暗い悲しみや怒り、戸惑いにリアリティや共感が生まれていると思います。オーバーだけど、それで丁度良いのが思春期の感性でありリアリティではないかと思います。それから、「I give all of you」は文の意味が通じないのですが、語感を優先してyouを使ったのであって、メッセージとしては「I give all of 'me'」だったのだろうと思います。KPOPの歌詞って、時々大胆に英語の文法を無視する時があると思いませんか?不思議です。
次に、またまたラスサビ前のブリッジを取り上げます。ここの歌詞も素敵なんです。
「穴の空いた僕の魂が癒されていく/冷たい大気が溶けていく」
「ゼロの世界で、見つけた君という温もり」
「僕の全てをさらっていく/Girl, I need you」
君に対する恋心を使った現実逃避に救われているんですよね。その後がGBGBだと思うと、僕が純粋すぎて可哀想ですけど…そもそも、刺々しいながらに弱い僕ですが、この部分では完全に無防備な感じがします。

たった1曲の歌詞であり得ないほど語ってしまった訳ですが、私の0X1=LOVESONGへの愛情は、この程度では収まりません。KPOPと切っても切り離せないのが、パフォーマンスですよね。ポップロックという踊りにくいジャンルの中でも、究極の見る音楽としてのKPOPをしっかり出しています。

これは、衣装が一番お気に入りなパフォーマンスです。

こちらは、カメラワーク、MRとマイクの音量のバランス、衣装、諸々込みで見た時の私的ベストパフォーマンスです。ただ、アメリカの朝に「use me like a drug」はダメだったらしいです。残念。

まず、振付以前に、難しいリズムの曲でもしっかり音源通りのリズムで歌える事に感動します。TXTの曲は、エッジや息の多い歌い方まで再現してこそ曲の良さが活きるものが多く、ライブパフォーマンスとしてはかなりやりづらいと思います。なので、彼らの努力を噛み締めながらパフォーマンスを見てしまいます。

本題の振付の話をすると、まず冒頭のテヒョンが開いた手を閉じる部分から最高ですよね!あと、ハンドマイク!どの音を取るのか、強調するのかって、その曲をどう聴かせるのかにも関わる重要な役割を果たしていると思います。
それから、ヒュニンカイを持ち上げるパート。このハイパー組体操みたいな振付はTXTあるあるだと思いますが、①ダンサーさん達が踊るような振付よりKPOPアイドルらしさがある、②ストーリーを感じられる演劇のようだ、という2つの意味で好きです。
あと、TXTには、フロアを使う?に入る?振付がたくさんあり、その運動量の多さも特徴的だと思います。
まだまだあります。サビ始まりのbighitジャンプ!これがあってこそ、TXTみたいなとこありますよね!あれほど、高さとタイミングが合っていると、迫力満点です。「Say you love me ~」の区間はメンバー一人一人の表情をチッケムで楽しめる区間ですし、ブリッジのヒョンラインも最高です。特に、「僕の全てを奪って」の所でスビンがヨンジュンの首を掴もうとするのが、本当にヤバい…。そして、ラスサビで、他のメンバーが踊ってるセンターでヒュニンカイが一人身振りだけでパフォーマンスしているのも最高です。本人の提案だと聞いたことがあります。さすが、ヒュニンカイ。私は彼の魅力は歌でもダンスでも、音楽に乗るセンスが抜群なところにあると思います。まあ、私がそのタイプのアイドルが好きというだけなのですが。

ここまで書いておいてなんですが、MVにはまったく触れられていないという大失態…。いつか気が向けば、語りたいと思います。とりあえず、私の0X1=
LOVESONG愛を表現したかったんです。ここまでお付き合い頂き、ありがとうございました!

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